2018年1月5日金曜日

ブックトーク「罪深き愉しみ」での本を(いまさら)ご紹介

新年、明けましておめでとうございます。

今年も、「南薩の田舎暮らし」をよろしくお願いいたします。

さて、せっかく新年になったんですが、昨年末開催した「石蔵古本市」についてブログ上でお礼を申し上げるのを忘れていたようですので、遅ればせながら関係各位、そして来ていただいたお客様、ご協力いただいたみなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました。

お礼がこんなに遅れてしまったのは、それこそ古本市の最終日あたりから体調を崩しまして、風邪から気管支炎になり、それが治ってもなんだか調子が出ないのが続いていたせいなんですが、ようやく回復してきましたので気を取り直して、今回は「石蔵古本市」の特別企画ブックトーク「罪深き愉しみ」について書いてみたいと思います。

で、実は何と、この体調が悪くてボヤボヤしている間に、せっかく撮った写真を間違って削除してしまっていたようなので(!)、残念ながら当日の会場の様子を載せられません。そこは想像で補っていただけますようお願いします。

会場は、丁子屋さんのいくつかある石蔵のうち、表通りからは見えないところにある「第2石蔵」と呼ばれているところです。そこに約40名の方に集まっていただき、かなり寒い中でしたが盛大に開催できました。感触としては25人がせいぜいかなと思っていたので、有り難かったです。

さて、この「罪深き愉しみ」というイベントなんですが、改めて言うと鹿児島を代表する若手読書家6人に集まっていただき、テーマに沿ってオススメ本を紹介しまくってもらおうという内容です。

そのテーマは、
(1)幼い頃の思い出の本
(2)衝撃の本     
(3)オススメできない本 
(4)この作家はほぼ全部読んでるけどその中でも特にオススメな本
(5)まさに今会場で見つけた気になる本
の5つを設定いたしました。なお、(3)だけは「なぜオススメできない本をオススメするのか?」という疑問があると思いますので説明すると、要するに「自分としてはすごく好きなんだけど、この本はみなさんにはオススメしづらい理由があるんですよ」というワケありな本を挙げてくださいという意味です。決してつまらない本という意味ではないので誤解なきように。

なお、このテーマについては標記を簡潔にするため、以下次のように言い換えますね。
(1)思い出本
(2)衝撃の本
(3)非押し本
(4)作家の本
(5)見つけ本

というわけで、早速ブックトーカー(紹介者)ごとに挙げられた本をここでお知らせしちゃおうと思います。当日のトークでは、もちろんそれぞれの本について熱い想いが語られまして、すっごく面白かったですよ!(なお書名のリンク先は基本的にAmazonページです)

【岩男 昭人さん】
(1)思い出本『未来いそっぷ』星 新一
(2)衝撃の本『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』 佐々 涼子
(3)非押し本『地の星』流転の海シリーズ2巻 宮本 輝
(4)作家の本『暗号解読』サイモン・シン著、青木 薫 訳
(5)見つけ本『春宵十話』岡 潔
※非押し本の「流転の海」シリーズの話が面白かったですねー。このシリーズ、すっごく面白いとのことなんですが、宮本輝さんが遅筆のためなかなか続刊が出ず、しばらくして新刊が出るたびに第1巻から読みなおしているそうです。そうしないと新刊を楽しめないからということで。でもそのせいで、長いシリーズを何回も読みなおした結果、「もう最終刊が出てから改めて一気に読もう!」と封印されたそうです。なお、岩男さんはお勤めの企業内に半私設図書館を作ってしまったとのこと。罪深いですね…!

【チサトさん(READ)】
(1)思い出本「こまったさんシリーズ」 寺村輝夫 作、岡本颯子 画
(2)衝撃の本『父の詫び状』向田邦子
(3)非押し本『芽むしり仔撃ち』大江健三郎
(4)作家の本『向田邦子全対談集』向田邦子
(5)見つけ本『パールストリートのクレイジー女たち』トレヴェニアン 著、江國香織 訳
※チサトさんは、自身が「私は向田邦子の生まれ変わりなんじゃないか」と思うほどの向田邦子の大大ファンだそうです。向田邦子といえば鹿児島にゆかりある作家さんですけど、実は私はこれまで読んだことがありませんでした。『父の詫び状』は読まないといけませんね!

【諏訪田 寛人さん】
(1)思い出本『どんぐりと山猫』作 宮沢賢治 絵 高野玲子
(2)衝撃の本『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』高野文子
(3)非押し本『けんかはよせ 腹がへるぞ 水木しげるの妖怪名言集』水木しげる
(4)作家の本『カフカの「城」その他三篇』森泉岳土
(5)見つけ本『浜田知明 版画と彫刻による人間の探求』浜田知明
※諏訪田さんが紹介してくれた本は、なんと全部「絵のある本」で、しかもそのうち3冊が「本を題材にした本」という、すごく特徴的な内容でした。視覚的なものから入る方なんだなというのが真っ直ぐに伝わってくる選書です。そんなわけで私は『浜田知明 版画と彫刻による人間の探求』が気になりました。かなり濃いアートのようです。

【マイコさん(READ)】
(1)思い出本『ゴッドファーザー』マリオ・プーヅオ著、 一ノ瀬 直二 訳
(2)衝撃の本『不思議を売る男』ジェラルディン・マコックラン著、金原瑞人 訳
(3)非押し本『本棚の歴史』ヘンリー・ペトロスキー著、‎ 池田栄一 訳
(4)作家の本『奇跡のタッチダウン』ジョン・グリシャム著、 白石 朗 訳
(5)見つけ本『乳房』池波正太郎
※幼い頃の思い出の本が『ゴッドファーザー』ってどんな女の子だよ! とまずそこから入ったんですが、マイコさんは独特の感性で本を選んでいますねー。例えば『奇跡のタッチダウン』は法廷小説で有名なジョン・グリシャムの本ですが、これは法廷ではなくアメフトを題材にしています。でも好きな点は、そこで描かれる食べ物の描写が本当に美味しそうだから、とのことでした。どんな描写なのか気になります。

【ミホコさん(READ)】
(1)思い出本『秘密の花園』フランシス・ホジソン・バーネット(*)
(2)衝撃の本『プリズン・ブック・クラブ——コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』アン・ウォームズリー著、 向井和美 訳
(3)非押し本『クマのプーさんと魔法の森』クリストファー・ミルン著、石井桃子 訳
(4)作家の本『クリスマスの思い出』トルーマン・カポーティ著、村上春樹 訳
(5)見つけ本「1988年のデュフィ展図録」、『にんげんになったニクマンジュウ』長新太
※ミホコさんは本の紹介が上手! でした。特に『プリズン・ブック・クラブ〜』は会場に衝撃を与え、みなさんメモっていましたね。これは刑務所の中で行われる読書会が囚人にどんな影響をもたらしていったかというドキュメントの本です。一方私が気になったのはカポーティの『クリスマスの思い出』。本の紹介が上手なミホコさんが、想いが高まりすぎて逆にあっさりした紹介になっちゃった感じがしたので、かえってカポーティを読みたくなりました。
(*)本書がどの訳者のものだったのかが記録していません。

【小村 勇一さん】
(1)思い出本「ズッコケ三人組シリーズ」那須正幹
(2)衝撃の本『ドバラダ門』山下洋輔
(3)非押し本『ゴーマニズム宣言Special 大東亜論2 -愛国志士、決起ス-』小林よしのり
(4)作家の本『なくしたものたちの国』角田光代
(5)見つけ本『薩摩のかくれ門徒』星野元貞
※今回のブックトークで、登壇者の調整など実質的なコーディネータ役をつとめて下さった小村さん。小村さんがことあるごとに紹介している『ドバラダ門』がやっぱり気になります。これは、ジャズピアニスト山下洋輔さんのお祖父さんが、鹿児島アリーナのところにある昔の刑務所の門「ドバラダ門」の設計者であることから紐解かれる小説(のような本)で、ちょっと普通のカテゴリーではくくれない超絶的な本だとのこと。「とにかく読んでみろ!」そういうタイプの本ですね。

以上が紹介された30冊の本なんですが、不詳コーディネータを務めました私も、あわせてオススメ本を紹介しましたのでそれもお知らせします。
(1)思い出本『海底二万里』ジュール・ヴェルヌ著、村松潔 訳
(2)衝撃の本『狂風記』石川淳
(3)非押し本『フィネガンズ・ウェイク』ジェイムズ・ジョイス著、柳瀬尚紀 訳
(4)作家の本『ユービック』フィリップ・K・ディック著、浅倉久志 訳
(5)見つけ本『薩摩の兵児大将』『薩摩のボッケモン』大迫亘

そんなことで、ブックトーク「罪深き愉しみ」、非常に楽しいイベントでした! 読書家のみなさんの熱い熱いお話を伺って、私自身としてもよい刺激を受けましたし、きっと会場の皆さんも「これは!」という本が見つかったのではないかと思います。すごく熱心に聞いていただいて、ホントに寒い中でしたけど「会場の熱気」が精神的に(?)感じられました。お越し下さったみなさま、本当にありがとうございました!

この企画、2回目があるかどうか例によって決めていませんが、ホントに面白かったのでまたやりたいです。でも無料イベントにしたので、完全赤字だったのが痛いところ! 次回やるならトントンくらいになるように工夫したいと思います。

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