2021年2月25日木曜日

樹の元気と地衣類の関係

これは一体何かというと、ポンカンの樹の幹です。

白く見えるのは地衣類(菌類と植物が共生関係になっている乾いた苔みたいなもの)です。中央部分には薄い苔も見えます。

ずいぶん地衣類がびっしりついていて、なんだか古木みたいな感じですけど、実はそんなに古い枝ではありません。

さて、どうして幹に地衣類がついているのでしょうか。

私も栽培を始めた最初の頃は、そんなことを疑問に思うこともありませんでした。 でもよく注意してみると、このように地衣類がびっしりついている枝がある一方で、そういうのが全くない、キレイな枝もあるのです。

そして、キレイな枝というのは、葉や実にあきらかに元気があります。逆に、地衣類びっしりの枝は、なんだか元気がない。

地衣類が樹の元気を奪っている……っていう可能性もゼロではないですが、たぶん因果関係が逆で、元気がないから地衣類がつくのです。

例えば、バケツなんかを外に出しっぱなしにしておくとします。1年も出しておくと、何も使っていなくても黒ずんで汚れていきますよね。ジメっとした場所に置いていたら苔なんかもつくかも。外に出しっぱなしにするんだから汚れるのは当然です。

樹の幹も一緒です。何もなければ汚れていくはずです。誰かが掃除してくれるわけでもないんですから。でも実際には、元気な樹の幹は全然汚れないのです。

これは、樹自体に、自分を清潔に保つ作用があるとしか考えられません。そして元気がなくなると、その自浄作用が弱くなって汚れてきて、地衣類がつくのだと考えられます。

ちなみに、ポンカンの場合は地衣類がつきますが、しらぬいであれば、苔の方が先につきます。同じ柑橘類でも、弱ったときにどのように汚れていくかは品種によって違う、というのもわかってきました。

じゃあ、この地衣類をこそぎ取って落としてやると、枝の元気さは回復するのでしょうか? うーん、そんな気はしますけどよくわかりません。そこで、今年は剪定のついでに地衣類を取り除く作業をしています。ちょっと(いや、かなり)面倒ではありますけど…実験ですね。

それにしても植物を観察するのは面白いです! 

 

↓クラウドファンディング挑戦中。ご協力お願いします!

2021年2月22日月曜日

「古民家ブックカフェ」のクラウドファンディングを開始しました! ご協力お願いいたします!

もらった家で「古民家ブックカフェ」を作るプロジェクト、がついに動き始めました!

【参考】もらった家で「古民家ブックカフェ」を作るプロジェクト。一緒にやりませんか?
https://nansatz-kurashi.blogspot.com/2020/10/blog-post.html

 2月20日にクラウドファンディングを開始して、既に28人、209,000円の支援金が集まっております(2月22日15:30時点)。

ありがとうございます!

開始する前は、「最初のうちは、支援者の9割くらいは知り合いだろう」 と思っていたのですが、実際やってみると、第1号の方は面識のない方! その他、とても多くの面識のない方から支援をいただいております。まさに人とのご縁を感じています。

特に、「大浦はふるさとです」という方が支援してくださるのは嬉しいですね。大浦は、かつてはかなり人口の多かったところなので、大浦出身者は全国に散らばっているはずです。ぜひ多くの出身者の方に知っていただきたいと思っています(そしてできれば、お店がオープンしたら帰省時に寄っていただきたいですね!)。

ところで、今回のプロジェクトですが、クラウドファンディングと自己資金がちょうど半分ずつの計画です。本当は、これプラス補助金を活用する予定でした。

商工会を通じて申請できる「小規模事業者持続化補助金」というやつです(コロナ対策のための「持続化給付金」などと紛らわしい名前ですが、昔からある補助金)。

商工会の方が言うには、「初回申請だし、この事業の内容から見て、たぶん採択されると思いますよ」ということでした。ところが、普通なら1ヶ月程度で採択結果が出るのですが、今回は申請してから結果が出るまで3ヶ月以上もかかり、しかも不採択でした。

話を聞くと、コロナ対応のための事業で申請数が多い上に、直接のコロナ対策へ予算が振り分けられているためか、通常の「小規模事業者持続化補助金」は採択率が3割ほどへ低下しているということ(平常は7割くらいあるそう)。

まあ、商売を続けていくための事業が優先されるのは当然です。「古民家ブックカフェ」は伝統的な対面商売でコロナ対策とは逆行していますしね。こんなのほほんとした事業が不採択になるのはいたしかたない。

でも、ちょっと待ってください。大浦町は、平常からコロナ自粛かっ、っていうくらい人がいません。ソーシャルディスタンスどころか、外を歩いてる人が連続していたらびっくりっていうくらいの人口密度です。最盛期に8000人以上いた人口は1800人にまで減ってしまいました。

うちの娘は今小学校5年生と2年生ですが、上の子が入学した時には大浦小学校も80人以上児童が在籍していたのに、いまでは50人ちょっと。たったの5年で4割近く児童数が減少してしまいました。コロナ禍以上の危機が、じわじわと進行中なんです。

もちろん、「古民家ブックカフェ」で人口減少の歯止めになるとは思っていませんし、大浦町が過疎地になっていくのは時代の流れでもあったと思います。でも人口が減っても、一人ひとりの住民が楽しく暮らしていれば、きっと大浦は存続できると思っています。このプロジェクトは、まずは自分たちが「こんな店が大浦にあったらいいよね! 楽しいよね!」と思うことを形にするものとして構想しました。 

一見のほほんとしていますが、コロナ禍以上に(!?)危機感もあります。ご協力よろしくお願いいたします!!
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2021年2月17日水曜日

チラシもダンボールもスロービルド。てなわけでようやくできました。

タンカンの発送も終盤になってきております。今季は柑橘全般がやや不作で、発送量も例年より少なめです。

というわけで、シーズンももうそろそろ終わり…というタイミングなのに、今さらになって「南薩の田舎暮らし」の3つ折りチラシが完成しました!!

シーズンの開始に間に合ったら柑橘のお客様に封入できたのに…、まさに後の祭り。まあこれから2年ほどかけて配布していく予定なので、ちょっと惜しかったけどしょうがない。

これまでも、ポンカンとかタンカンとかをご購入いただいたお客様には、お店のチラシを入れていました。A5サイズ両面の小さなチラシです。私たちはこれで十分かなと思っていました。

ところが、何年か前(3年くらい前でしたかね)、行政が主催する商品デザイン改善の講座みたいなのに出席した時に、中島秋津子さん(鹿児島の商品デザインでは有名なStudio Kの社長)にご意見を伺ったんです。その時のやりとりがこんな感じでした。

窪「このチラシを商品に同封していて、自分たちとしてはこれでいいと思ってるんですけど、どうですか?」

中島さん「どうですか…って、デザインに何を求めるかですよ。売上を伸ばしたいとか、ブランドの認知を広げたいとか」

窪「いや、別に売上を伸ばしたいとかはないですねー。そもそも、自分が収穫した分しか販売できないので、生産量を増やす以外に売上を伸ばす方法はないですし。ブランドの認知とかも特に考えてないです。今は知り合いに売っているような段階なので…。お客様に対して恥ずかしくないものにしたいなと、それだけです」

中島さん「フハハハハ! こういう仕事やってると、売上を増やしたいとか、デザイン変えて儲けようみたいな話ばっかりなのに、窪さんって無欲で面白いね! こんな相談初めてだよ。それならチラシはそのままでもいいと思うけど、「南薩の田舎暮らし」が面白いから、もうちょっと自分たちの説明をしたらいいんじゃない? 今のチラシは説明が少ないから」

というわけで、そう言われてみると確かにそうかなーと思ったので、中島さんに「じゃあもうちょっと説明を増やしたチラシを作りますねー!」と約束しました。中島さんも「南薩の田舎暮らしの新しいチラシをどこかで目にするのを楽しみにしてますね」と言って下さいました。

が、そこからもう3年以上の月日が流れ…。先延ばしにもほどがある…。

で、旧チラシが切れるタイミングに合わせ、新しい3つ折りチラシを製作したわけです。デザインはもちろん自分。説明はこれまでの4倍くらいになったと思います。どんな内容になっているかは、商品をご購入いただいて確認して下さいね(笑)

それから、今季新しく作ったものがもう一つあります。オリジナルダンボールです!

これはもう就農直後からの懸案で、普通の農家は1年目くらいに「○○農園」みたいな屋号入りダンボールを作ります。そうしないと出荷に不便ですし、ダンボール会社に大量注文すれば、無地ダンボールを小売りで買うよりお得です。

ですが、私は(1)まとまったお金がない、(2)ダンボールの置き場所がない(500枚が最小発注数。もちろん少部数でも作れるが割高)、の2つの理由から、オリジナルダンボールの製作も先延ばししまくっていました。就農後9年以上が経過しております(笑)

じゃあどうしていたのかというと、これまでは農協で無地ダンボールを買ってきて、消しゴムはんこでロゴを押していました。まあ、これはこれで手作り感があってよかったと思います。でも、消しゴムはんこにはあまり耐久性がなくて、1000枚以上のダンボールに押してきたのでだいぶ劣化してきていました。

それで、昨年ようやくオリジナルダンボールを作りました。でもこれも、側面にロゴをあしらっただけのシンプルなデザインです。普通、最低でも屋号は書くと思うんですが、どうしてそうしなかったか!?

深い理由はないんですけど、「必要ないと思ったから」ですかね。ダンボールを見て注文して下さる方がいるというのは、他の農家から聞きますけどそんなに多くはないでしょうし。だからうちのダンボールであることがわかりさえすればいいので、ロゴだけがシンプルでいいんじゃないかと思ってこうしてみました。今のところ、いい評判も、悪い評判もありません(笑)

というわけで、今季は懸案だったチラシとダンボールの問題が両方とも解決したのでスッキリした気分でいます。「いや、先延ばししすぎだろ!」ってお叱りを受けるかもしれませんね。もちろん商売にはスピード感も大事。パパっと作って行く方がずっといいとは思います。

でも、これも一種のスロービルド。じっくり作って、まるで柿の実が熟して落ちるように生まれたものになったかなと思います。あぁ、よかったよかった。

※「無農薬・無化学肥料のタンカン」はもうすぐ売り切れになりますので、ご注文はお早めに!

【南薩の田舎暮らし】無農薬・無化学肥料のタンカン