2022年5月22日日曜日

田舎暮らしで農業をしている私が、なぜ本を出したか。

私こと、南薩の田舎暮らし店主が本を出しました!

……といっても内容は、田舎暮らしとも農業とも全然関係ありません(笑)

神代三陵(じんだいさんりょう)という、「神さまのお墓」がどうして鹿児島にあるのか? という謎を追ったものです。

なんでそんな本を出したの…!?

と思いますよね、普通。

大学でそういうことを勉強していたんですか? と聞かれることもあります。が、私は理学部数学科を出ていて、歴史どころか人文系の学問はほとんど勉強していません。

数学科なのに農業をやっている、というのも「大学で何を勉強してたんだよ!」って感じですが、実は勉強自体はすごく好きで、大学時代は勉強に明け暮れておりました。ですが、悲しいかな数学の才能・センスがあまりなかったので数学の道に進むのは諦めました。

実は、社会人になってから、趣味で進化人類学の勉強をしていたこともあります。 これはこれで面白かった。でも田舎に移住してきてからは、身近な歴史を調べるのが面白くなりました。例えば、ここの氏神様の祠はいつからあるんだろう? とか。

そして、歴史は歴史でも特に宗教がらみのことに興味がありました。私は、中学生くらいの頃からなんだか宗教が気になっていて、「信仰とは何か?」という疑問をずっと胸に抱いていました。そういえばミルチア・エリアーデの『世界宗教史』も全部読みました。特定の宗教というより、人はどう信仰してきたのか、ということが気になるんです。

そんなわけで、田舎に暮らすうちに、自然と身近な宗教の歴史に目を向けるようになりました。そして、薩摩藩は明治以降の行政史において非常に大きな影響力を持っていたために、身近な歴史が日本全体の歴史に大きくリンクしていることがわかってきました。

その一つの極点に思われたのが、神代三陵という「神さまのお墓」です。どうしてそんなものが鹿児島にあるのかを解き明かすことが、そのまま幕末明治の宗教行政史を見直すことに繋がっていったのです。

それをまとめたのが、今度書いたこの本です。

というわけで、この本は、内容的には田舎暮らしとは関係はないのですが、こちらに移住してこなかったら絶対に書かない内容だったので、無関係とも言い切れない。

それに、農業とも無関係じゃないのです。

というのは、農業というのは、単純作業がたくさんあります。というか単純作業しかないくらいです。例えば、今日は田んぼの草取りをしていました。草取りなんか、単純作業の王様みたいなものです。もちろん大変です。でも自分のペースで出来るし、頭の中は暇です。だから2時間草取りをしたら、2時間考え事をしているのと同じです。

なので、農業を仕事にしてから、考え事をする時間は大幅に増えました。実際、こんなに思索に時間を使える業種ってそれほどないかもしれません。しかも体を動かしながら考えるのがまたいいんです。

その時間を利用して、学んだ身近な宗教の歴史について考察したり、それを検証したり、違う角度から改めて考えてみたり、とにかくこねくり回して自分なりにまとめていきました。そうして頭の中で本を書いたのです。仕事中に頭を使うような業種を選んでいたら、本は書けなかったんじゃないかなと思います。

ですから、内容的には田舎暮らしとも農業とも全然関係ありませんが、きっと田舎暮らしをして農業をしていたからこそ書けた本です。人生にたびたび現れる、不思議な巡り合わせで出来た本です。

よかったら、買って下さいね!

↓ご購入はこちらから…ですが、全国の書店、Amazon等でも販売されます。
【南薩の田舎暮らし】『明治維新と神代三陵:廃仏毀釈・薩摩藩・国家神道』 (1870円(税込み)送料無料)

2022年5月17日火曜日

そらまどアカデミア第1回「故郷の景観と心のパースペクティブ~景観がもたらす精神的価値と地域価値~」を開催します。

「books & cafe そらまど」をオープンして約半年が経ちました。

最初は、「お客さんがたくさん来ちゃったらどうしよう。鹿児島の人は新しもの好きだから…」と心配していたのですが、幸か不幸か(?)これまでのところ大繁盛はしておりません(笑)

そんなわけで、このお店の当初の目標「田舎における文化の拠点」になるべく、ミニ講演会のシリーズ「そらまどアカデミア」を不定期で開催していくことにしました。

第1回は、6月12日(日)、鹿児島市立図書館長の井上佳朗さんをお呼びして、「故郷の景観と心のパースペクティブ~景観がもたらす精神的価値と地域価値~」をご講演いただきます。

この講演内容はこちらからお願いしたものではなく、井上先生からご提案していただいたものですが、最近、風力発電の計画で海や山の景観が危機にさらされていることを考えると、非常に時宜に適ったテーマを選んでいただいたと思います。

また、「そらまどアカデミア」のキャッチコピーを「世界をのぞく小さな窓」にしました。大それた事はできないけど、ちょっとだけ世界をのぞくような場にしたい、という思いからです。景観というのはまさに窓からのぞくものの一つなので、ちょうどよい縁語になりました。第1回に相応しいテーマですね!

ちなみに、井上先生に講師になっていただいたのは、もちろん鹿児島市立図書館長ということで本に関係するからでもあるのですが、南薩の田舎暮らし代表(窪 壮一朗)とは、東京工業大学の同窓生なのです(もちろん井上先生はずっと先輩)。そのご縁から二つ返事でご快諾いただいたことに、この場を借りて感謝です。

そして本来、鹿児島市立図書館長にご講演いただくとなれば、もっと大きな会場を用意すべきですけど、「そらまど」は狭い店なので定員が15名しかありません。お早めにお申し込みください。

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第1回 そらまどアカデミア

故郷の景観と心のパースペクティブ
~景観がもたらす精神的価値と地域価値~

講 師:井上佳朗

変化の激しい現代社会において、故郷の景観が持つ価値について考察してみたい。人間と景観の関係を、「近景」と「遠景」という空間軸に、「現在」「過去」「未来」という時間軸を重ねて、地域社会づくりへのヒントを得たいと考えている。

日 時:6月12日(日)14:00〜15:00(開場13:30)
場 所:books & cafe そらまど (駐車場あり)
料 金:1000円(ドリンクつき) ※中学生以下無料
定 員:15名
要申込申込フォームより、または店頭で直接お申し込みください。※中学生以下は無料ですが申込は必要です。
問合せこちらのフォームよりお願いします。

<講師紹介>
1947年長野県生まれ
2013年鹿児島大学名誉教
2020~鹿児島市立図書館 館長
社会開発工学・社会行動論をベースに、観光振興、景観形成、環境対策、公共交通対策などの地域社会づくりに取り組んでいる。