2022年8月12日金曜日

意地の草取りの甲斐あって(2022年新米販売中です)

おかげさまで稲刈りも終わり、お米の発送作業に入りました。

有り難いことに、例年通り多くの予約注文をいただいております。しかしご予約分はほぼ発送が終わりましたので、これから順次ご注文を受付いたします。

ぜひご注文をよろしくお願いいたします。

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【南薩の田舎暮らし】
【2022年産】無農薬・無化学肥料のお米(5kg)

それにしても、今年は米作りに苦労した年でした。

というのは、水管理がなかなかうまくいかなかった。というより田んぼになかなか水が来なかったんです。もちろん、史上2番目に早い梅雨明けだったのが大きく影響しています。6月〜7月トータルで見るとそれなりの雨量があったのですが、梅雨前と梅雨の中心時期にあまり雨が降らなかったのが大きい。

田んぼに水がないとどうなるか。もちろん生育が悪くなりますが、それ以上に困るのが「草が生える」ことです。

このとおり。田んぼに水が全然入らない時期があったので、稲の間が草だらけになってしまいました。

私は無農薬で作っていますし、草取りの機械も持っていませんので、このようになると手で草取りする以外にありません。

※しかし実際は、田んぼの除草剤も、草取りの機械も、水が入っていないと使えません。なのでこうなるとどっちみち人力で取る以外ないんですけどね。

ところが! 田んぼの草取りも、実は水が入っていないと非常にやりづらい。田んぼの土は乾くと堅く締まるので草が取れないんですね。なので、意地になってホー(土を削る道具)で草取りしました(画像の右半分)。

こんなアホな作業をしているのは、このあたりでは私以外は見たことがありません。人件費と売上は見合っているのだろうか、というようなことを考えるとやる気がなくなるので、無心になって全部の草取りを終えました。これまでで、一番草取りが辛かった年かもしれないです。

なので、今年はかなりの不作だろうな……と覚悟していたのですが、意地の草取りの甲斐があったのか、思ったほどの不作ではなかったのでホッとしました。また、小米(規定の大きさに達しなかった米)もけっこう少なく、病害虫の被害もほとんどありませんでした。

「苦労したから美味しいはずです」みたいなことは、農業では正しくないことが多いですが(豊作の時は、たいがい、作るのも楽です)、今年は苦労の甲斐があったということにしておこうと思います。

うちのお米は量が限られているので、8月末〜9月半ばまでには売り切れます。お早めにご注文をお願いいたします。

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【南薩の田舎暮らし】
【2022年産】無農薬・無化学肥料のお米(5kg)
5kg:2,800円、10kg:5,000円(税込み)



2022年8月5日金曜日

第3回そらまどアカデミア「絵本が映す世相と価値観—昭和・平成・令和をたどりながら—」

この大量の絵本の写真をご覧ください。これは私の本棚ではありません。もちろん図書館の写真でもありません。

この本棚の持ち主は、四元 誠さん。すごいコレクションですよね(もちろんこれが全体ではないです)。

このたび、この大量の絵本コレクションをお持ちの四元さんをお招きして、第3回そらまどアカデミアを開講することになりました。

題して「絵本が映す世相と価値観—昭和・平成・令和をたどりながら—」。

さて、四元さんの本業は、陶芸家です。

陶芸家といっても、普通の陶芸家ではありません。専門は土器や土偶の復元で、その「作品」は各地の博物館に納められているそうです。

そしてその活動の傍ら、放課後児童支援員の資格を取り、「まことせんせい」として放課後児童クラブで子どもたちのいろんな手助けをしています。特にものづくり系の活動支援が得意なのは仕事柄当然として、絵本の読み聞かせもすごいんです。

…といっても、当然、私は「まことせんせい」の読み聞かせを実際に聞いたことはありません。でも、Facebookでシェアされる読み聞かせのラインナップを見ただけで熱意がわかります。

第1に、新作絵本が多い。絵本の読み聞かせというと、反応が間違いない定番のものを選ぶのが多いのですが、新しい作品を果敢に取り上げています。簡単なように見えますが、これをするのが意外と難しいです。(もちろん、定番絵本にも素晴らしいものがたくさんありますので、定番絵本ばかりでも悪いことはないのです)

第2に、科学系・人文系(要するに勉強になる)絵本を結構入れています。日本語では、たいていの学術分野は絵本になっていますので(特に福音館書店の「たくさんのふしぎ」「かがくのとも」はこの分野で多大な貢献をしました)、大人でも絵本で勉強になることが多いです。科学に触れる入り口として絵本は大事です。

第3に、硬軟取り混ぜた、子どもを惹きつける組み合わせになっていることです。これは実際どのような順番でどう読んでいるのかとかはわからないですが、私が想像しているのは、「全員この話をしずかに聞きましょう」式ではなくて、一人ひとりの興味に合わせて「聞きたかったら聞いてね」みたいな読み聞かせをしているのではないかということです。だからいろんなレベルの絵本が登場して、結果的に多くの子どもが楽しめる時間になってるんじゃないかなーと思っています。

というわけで、四元さんには、本業の陶芸ではなくて(笑)、絵本について語ってもらいたいと常々思っていました。ひとかたならぬ思い入れがあることは間違いないからです。

今回、「そらまどアカデミア」では、絵本を通じてみる世相や価値観の変化についてお話いただけるということで、大量のコレクションをお持ちの四元さんらしいテーマの設定だと思いました。どんな話が聞けるのか、私も楽しみにしています。

なお、四元さんは本業の方ではこのたび個展も開くそうなので、ぜひ足を運んでみて下さい。

■四元 誠 展〜縄文の器〜
2022年8月10日(水)→23日(火)
 平日 13:00〜19:00
 土日祝日 11:00〜19:00
GALLERY-F(鹿児島市中央町23−21 アエールタワー2F)


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第3回 そらまどアカデミア

絵本が映す世相と価値観—昭和・平成・令和をたどりながら—

講 師:四元 誠

子ども向けの出版物である絵本には、世相や価値観に加え、社会における子どもの存在をどう捉えるのかといった、いわゆる「子ども観」が反映されます。今回は、昭和・平成・令和、それぞれの時代に出版された本を紹介しながら、その移り変わりをたどってみたいと思います。

日 時9月18日(日)14:00〜15:30(開場13:30)
    9月25日(日)14:30〜16:00(開場14:00)
場 所:books & cafe そらまど (駐車場あり)
料 金:1000円(ドリンクつき) ※中学生以下無料
定 員:15名
要申込申込フォームより、または店頭で直接お申し込みください。※中学生以下は無料ですが申込は必要です。
問合せこちらのフォームよりお願いします。

<講師紹介>
工房 琴鳴堂 代表。1973年生 鹿児島県霧島市在住。博物館の展示用造形物/ミュージアムグッズのデザイン/体験学習の企画と教材製作を中心に活動中。また長年に渡り児童施設での読み聞かせも行なっている。

【9月15日アップデート】9月18日に台風接近が予想されているため、日程を延期いたしました。

2022年8月2日火曜日

第2回そらまどアカデミア開催しました! 港町の石造物の世界に魅せられて

7月31日(日)、第2回そらまどアカデミア「川田達也の「いつもの」—古寺跡・お墓トーク—」開催しました。

「いつもの」というタイトルなので、川田さんとしてもお客さんは知っている人ばかりのつもりでいたみたいですが、結果的にはそうでもなかったです。イベントというのは開催してみないとわからないものですねー(もちろん常連さん的な人もいましたけどね)。

さて、川田さんはいつも古寺跡、つまりお墓や、石造物の話ばかりしているわけですが、今回は特に「港町の石造物の世界に魅せられて」というテーマで、薩摩半島の港町にあるいろんな石造物が紹介されました。スライドの枚数は約100枚です!

川田さんによると、港町の石造物は(1)石材の種類が豊富、(2)あふれる財力、(3)交易のあった港との共通のデザインがある、(4)子供のお墓が多い、といった特徴があるそうです。特にここでは(3)の共通デザインについて講演から少し紹介します。

例えば、南さつま市坊津町久志にある「安養院管轄墓地」には、山川の「正龍寺跡」と石材・デザインの点で共通する石塔があります。具体的には、山川石・大谷石といった黄色い高級石材を使い、墓塔の周りに「南無・阿弥・陀仏」と彫った墓塔があるんです。こういったものは、港町の間に交流があったという動かぬ証拠ですね。

他にも、南さつま市笠沙町小浦にある「常福寺跡」には、薩摩川内の久見崎にある「江音寺関連墓地」と共通する赤石の石造物群、白い石の無縫塔などがあり、明らかに二つの港が何らかの繋がりを有していたことがわかります。

実は、この「常福寺跡」は、私は川田さんと一緒に探索し、「屋号(を表す記号)つき墓塔」という他の地域にない独特の墓塔を発見していたのですが、これも他の地域に僅かですが見つかるという発表があり、私も衝撃を受けました。「他の地域にない」と安易に思ったらだめですね…。

その他、石造物にまつわるいろいろな話が川田さんからはポンポン出てきます。引き出しの多さが半端ないですねー。古寺跡に興味を持つ人は結構多いのですが、ほとんどは「武将の誰それが眠っている」とか、「これは○○の戦いの慰霊のために立てられた石塔」といった「歴史」との関連で墓地を見ているのに対し、川田さんは無名の人々の墓石にも同じくらい興味を持って見ているのがユニークな視点であり、強みだなと思いました。

会場のみなさんも、川田ワールドを十分に堪能されたと思います。予定では1時間半の予定でしたが、質疑応答も盛んに巻き起こり(!)、15分ほど超過しての終了となりました。

また、講演終了後もいくらかのお客さんは引き続き残って下さり、おかげで当方が用意していた「かぼちゃバスクチーズケーキ」も完売しました。ありがとうございました。

次回のそらまどアカデミアは9月を予定しています。お楽しみに!