加世田唐仁原の十五夜綱曳きずり(1992年、撮影井上) |
10月6日(日)、そらまどアカデミア開催します。
今回のテーマは民俗学です。
民俗学って、あまり知られていない学問かもしれません。なんとなーくこんな感じ、というのはあっても、具体的にどんな研究をしているのかというとイメージがないのではないでしょうか。
そんな民俗学に、ライフワークとして取り組んできたのが井上賢一さん。
井上さんは、「南さつま半島文化——鹿児島県薩摩半島民俗文化博物館」というWebサイトを主宰しています。
「南さつま半島文化」は、「インターネット博物館」と銘打っているのですが、「博物館」というだけあって、とんでもなく情報量が多いんです。
ここには、 「南さつま歴史街道」「鹿児島祭りの森」「鹿児島の祭りと民俗」など歴史や民俗についてのコンテンツがあり、なんと子ども用の学習ページ「こども博物館」まであります。
このうち、例えば「鹿児島祭りの森」には、地域のお祭りについて大量の項目があり、それぞれの解説、祭の構造、ビデオ(YouTube動画)などなどが豊富にアーカイブされています。
一例として、「南薩の田舎暮らし/そらまど」のある大浦町の「疱瘡踊り」はこんな感じです。
【参考】大浦町の疱瘡踊り
https://hantoubunka.site.kagoshima.jp/pic/0204hoso.html
趣味で作ったレベルじゃない、っていうのがすぐ分かると思います。…すごいですよね!
井上さんは、こうした調査をライフワークとして続けてきました。といっても仕事ではありません。あくまでも趣味ではあるのですが、結果としてできあがった「南さつま半島文化」は、趣味のレベルを超えて、公共的な価値があるものとなっています。このサイトの情報をどう次世代に残して行くか、これが現在の課題といっても過言ではありません…!
ところで、最近、奈良県の民俗文化博物館が収蔵品の整理のために休館するというニュースがあり、ちょっとだけ民俗学について注目が集まりました。今こそ井上さんに民俗学や民具について語ってもらいたい。そう思って講演を打診しました。
講演タイトルは「もう一つの十五夜綱引き」。
鹿児島って十五夜の綱引きが盛んですよね。川内大綱引きは有名ですが、その裾野にある地域の小さな綱引き祭りもたくさんあります。私は鹿児島育ちなのでよくわかっていませんでしたが、外に出てみると、他の地域では十五夜綱引きはこんなに盛んではないことに気付きました。
しかし鹿児島には、なんと綱を引かない「綱曳きずり」という祭りもあるんです。綱引きしないのに、なんのために綱をひきずるのか!? この「もう一つの十五夜綱引き」を入り口に、井上賢一さんに民俗学の世界についてご案内いただきます。ぜひご注目ください。
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第14回 そらまどアカデミア
もう一つの十五夜綱引き
講 師:井上賢一
南九州各地で盛んに行なわれる旧暦八月十五夜の「十五夜綱引き」。しかし鹿児島には、綱引合戦を行なわない「綱曳きずり」という習俗がみられる。なぜ十五夜に綱を引くのか、あるいは曳きずるのか、薩摩半島での記録映像を紐解きながら、考えてみたい。
日 時:10月6日(日)14:00〜15:30(開場13:00)
場 所:books & cafe そらまど (駐車場あり)
料 金:2000円(ドリンクつき) ※中学生以下無料
定 員:15名
要申込:申込フォームより、または店頭で直接お申し込みください。※中学生以下は無料ですが申込は必要です。
問合せ:こちらのフォームよりお願いします。
高知大学卒業後、鹿児島大学で下野敏見に師事。ノンプロ研究家として鹿児島民具学会での活動をはじめ、民俗調査への参加や、各地の民俗芸能・年中行事を訪ねて歩く。研究成果をWebサイト「南さつま半島文化」で公開。
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