2017年8月31日木曜日

私のインタビュー記事が「ポケットマルシェ」で公開されましたがその反響は…

先日、ちょっとした取材を受けました。

そういえばこのブログでは告知していなかったみたいなんですが、南薩の田舎暮らしでは「ポケットマルシェ」という農産物限定のフリマアプリ的なサービスにも出品していて、 そこの方がうちのお米を記事にしたい、ということだったんです。

【参考】ポケットマルシェ

フリマアプリと記事、という繋がりがピンと来ないと思うんですが、この「ポケットマルシェ」というサービスは、ただ出品された農作物がずらずらと並んでいるだけじゃなくて、編集部がそれらから目玉商品的なものをピックアップして記事化し発信する、というものになっています。

もちろん、出品者側がお金を払って記事にしてもらうワケではなく、編集部が自主的に記事にしてくれるのです。ちゃんとライターさんが書いた記事になっているので、記事製作費も馬鹿にならないと思うのですが、すごい仕組みです。

それで今回、南薩の田舎暮らしの「無農薬・無化学肥料のお米」がその記事に選ばれたというわけです。

実はポケットマルシェの編集部さんからは、まだお米を出品する前からそういうご連絡をいただいて、うちみたいな零細農家に目をかけてくれるなんてー、とビックリしました。

それでできたインタビュー記事がこちら。

えっ、もう新米?真夏に収穫する「早場米」の出荷が始まりました。
https://poke-m.com/stories/507

普段は私はあまり自分のことをしゃべったり書いたりしないので、こうして書かれるのはとても珍しいことですねー。顔出しもあんまりしませんしね。

しかも、ポケットマルシェのアプリ利用者の数は知らないのですが、Facebookページをフォローされている方は1万人以上いるわけです。そんな大勢の人に見られるなんて、何か変な気持ちがします。

で、この記事が発信されて、どれだけの注文があったかというと…!

なんと! …ほとんどありませんでした。1万人以上の人がフォローしているので、10%の人しか見なかったとしても1000人。1000人もの人に見られて、ほとんど注文がないとはこれ如何に!?

「南薩の田舎暮らし」の直販ショップサイトでは、毎日少しずつご注文があるんですよ。ほんの数百人にしかアプローチできない発信力なのにも関わらず。だから数千人の人に見られたら、注文がワッと来るのではないかと心配していたくらいです。うーん、これは目算を誤りました。

何より申し訳ないのは、ポケットマルシェの編集部さんやライターさんに対してです。せっかく注目していただいて、記事にしてくれたというのに反響がこんなにないとは…。完全に赤字仕事をさせてしまいました…。この結果を前にすると、うちの商品の魅力がなかったとしか言いようがないですね。

そして、実はこの記事について、私もブログやFacebookなどで全然お知らせしていませんでした。というのは、同じうちのお米を買うのでも、ポケットマルシェ経由で買うと、「南薩の田舎暮らし」直販サイトから買うより、手数料(15%)を取られる分、ちょっとだけ高いんですよ!

だから、私の方から「ポケットマルシェで買ってね!」とはなんか言いづらい。直販で買って頂いた方がお客さんにとって得ですから。ポケットマルシェ経由でも、直販でも、私に入ってくるお金は一緒なんですけど…。

そんなわけで、このままだとポケットマルシェ編集部にはものすっごく申し訳ないので、せめてこのブログでポケットマルシェの宣伝をしようと思った次第です。別にうちの米でなくても、他の商品が売れても収益は向上するわけですからね。

もちろん先方の方が発信力が高いわけで、ここで宣伝してもうちのアクセス数を考えると罪滅ぼしにもならないのは承知の上ですが…。

という次第ですので、「南薩の田舎暮らし」と共に、今後はポケットマルシェさんもよろしくお願いいたします。


↓お米はまだまだ販売中です。ただし玄米での発送は終了しました。
【南薩の田舎暮らし】無農薬・無化学肥料のお米(5kg/10kg)【順次発送中】

2017年8月16日水曜日

化学肥料には堆肥が必須、その電気的な理由について

お米の収穫が終わってホッと一息する間もなく、次の作業が始まっています。

秋かぼちゃの準備です。今日は、堆肥を撒布しました。

私は、堆肥はこの「夢ゆうき」という堆肥を使っています。薩摩川内にある「松山農産」という堆肥屋さんが製造しているものです。

この堆肥を約50aの圃場に、約100袋、手で撒布しました。エイヤエイヤっと文字通り振りまいていく作業です。1袋15キロくらいとしたら、1.5トンくらいになりますね。もうちょっと軽いとしても軽く1トンはあるでしょう。私は堆肥撒布機(マニュア・スプレッダ)のような便利な機械を持っていないので100袋でも手で振りますよ!

ところで先日、お米の記事を書いた時に、「53aに堆肥を45kg」やった、と書きました。つまり面積はほとんど同じでも、お米の場合はたった3袋くらいしか撒かないわけです。それが、かぼちゃに対してはその30倍も堆肥を撒布している。これ、どうしてだと思いますか?

それは、かぼちゃの場合は化学肥料を使うからです。

それが堆肥に何の関係があるのかというと、ちょっとややこしい説明になりますが、こういうことです。

化学肥料に限らず、肥料分というのは陽イオンの形で存在していることが多いのです。NH4+(アンモニウムイオン)とかですね。これが土中に供給されると、対応する陰イオンがないと、どんどん降雨などによって流乏してしまいます。水に溶けるわけですから当たり前です。

よって、化学肥料を元肥として使う場合、そのままだとせっかくやってもどんどん溶け出してしまうということになります。これを防ぐには、陽イオンに結合する陰イオンを同時に与えなくてはなりません。すなわち、肥料分は電気的に+なので、土壌は電気的にーにしてあげる必要がある、というわけです。そして、この陰イオンを供給するのが堆肥の重要な役割なんですね。

というのは、堆肥とはすなわち動植物の腐植なわけですが、発酵によって各種の酸がうまれているんですね。酸というのは、H+(プロトン=水素イオン)を供給するものですから、電気的にー、つまり陰イオンなんですね(追記参照)。化学肥料の肥料分と、堆肥の腐植酸がイオン結合して土壌で安定的に存在するようになり、無闇に流乏しなくなる、というわけです。

くだくだしく書いてしまいましたが、私が言いたいのは、「化学肥料を使う時は堆肥も撒布しようね。そうでないと肥料分が無駄になるよ!」ということです。

もちろん、堆肥を撒布する理由は電気的な意味だけではないのですが、少なくとも電気的な理由だけ考えても、化学肥料には堆肥が必要なのです。化学肥料をいっぱい使う時は、堆肥もいっぱい撒布しないといけません。

では、有機質肥料だったら? という疑問があると思いますが、私の経験では、電気的な意味合いにおいては、それほど必要としないですね。というのは、有機質肥料の場合、肥料成分は既に腐植酸と結合しているので。でもこの結合の具合は、腐植の質によって異なるので、鶏糞肥料なんかは植物性の堆肥と組み合わせた方がいいような気がします。

ところで、 私がこの「夢ゆうき」という堆肥をどうして使っているのかというと、まず使い心地がすごくいいんです。サラサラで撒布しやすく、イヤな臭いもない。だから100袋でも手で振れるんです。あまりよくない堆肥だったら、ベチャベチャしていますしイヤな臭いもありますから、絶対手作業はしたくないですね。

そして「夢ゆうき」は、先述した電気的結合が、かなりしっかりしている印象があるんです。この堆肥を使うと、初期生育があまりよろしくない(笑)。 つまり、肥料分をガッチリ捉えている感覚があります。初期生育がよくない代わり、肥効が長く続き、重要な生育中期でしっかりと肥料分を効かせてくれる。そういう堆肥です。

家庭菜園にもオススメですよ!

(念のためいっときますが、松山農産とは何の利害関係もないです!)

【2017/8/17追記】
 改めて読んでみると、「H+(プロトン=水素イオン)を供給するものですから、電気的にー、つまり陰イオンなんですね」がわかりにくい感じがしたので補足します。 H+を供給する、ということは、

HX → H+ + X-

というように、陰イオンXも供給するという意味です。

【情報】
 ど田舎で起業した社長の日記/(有)松山農産オフィシャルブログ 
↑このブログの中に、松山農産の連絡先等が書かれています。

※無農薬・無化学肥料のお米もまだまだ販売中です。
【南薩の田舎暮らし】無農薬・無化学肥料のお米(5kg/10kg)【順次発送中】

2017年8月13日日曜日

カメムシ被害に焦っていましたが先輩農家の一言で…

先日、ご予約いただいていたお米の発送を行いました。

その作業中、私は「今年はカメムシ被害がひどくないか?」とすごく気になったんです。玄米の時はそれほど目立たないので、いざ精米してからわかるこのカメムシ被害…(写真は、強調のために被害米を集めています)。

ご購入いただいた方も、「あれ、黒いゴミみたいなのがたくさん入ってるぞ?」と気になったかもしれません。これは、カメムシに汁を吸われた痕なんです…。

といっても、これは見た目がよくないだけで、食味にはほとんど影響しませんし、もちろん有害なものではありません。この被害を受けないようにするには農薬を散布するしかないのですから、無農薬で作っている以上仕方ないものであるかもしれません。

それはそうなんですけど、最近は色彩選別機(通称「色選」)っていう機械があって、なんとこのお米から被害米だけを取り除くことができるんです! つまり無農薬で作っていても、色選さえあれば真っ白キレイなお米をみなさんにお届けできるわけです。

【参考】クボタの色彩選別機

無農薬でお米を作っている方も、「無農薬でやるんなら色選は使わなくちゃ!」みたいなことをよく言われます。色選を通すと米の等級が確実に1つは上がるので、その分増収効果があり、色選の購入費用を考えても得になる、という理屈です。

しかし、私のように小規模で作っている身ですと、そのような機械を購入することは不可能です(というか、色選以前に精米器も乾燥機もなにもない)。そんなわけで、「色選を通せばこの黒いゴミみたいな米はなくなるのに、皆さんには申し訳ないなあ」という気持ちでいました。

ところが、同じく(ほぼ)無農薬でお米作りをしている狩集農園のKさんにそう言ったら、こんな風に返されました。

「個人販売だったら米の等級は価格に関係ないけど、色選を通したら、色選の費用もそうだし色選を通す手間もかかるから、どうしても値上げしないといけないでしょ? それより安くした方がお客さんは喜ぶじゃん。カメムシの被害米が有害なものだったら取り除くべきだけど、見た目の問題だけなんだからさ。堂々と売ったらいいよ」

そっかー、確かにわざわざ色選を使って高級な米にするより、少々見た目が悪くても無農薬のお米を安く提供できるほうが理にかなってるかも! と目から鱗でした。高級な米だったら、うちの他にもたくさんあるわけですしね。

というか、無農薬・無化学肥料の米を5kg2500円(税込)で売ってるなんて、日本でも相当安いはずです。まあうちは有機認証を取っていないので、その分は割り引いて考えなくてはなりませんが、それにしても安い(自分で言うのもなんですが)。我が農協は、大浦町の新米5kgを1980円+税(=2139円)で売ってるので、うちの米は農協のお米とたった15%くらいしか値段差がないんです。

まあ、そんなわけで、カメムシ被害は若干多めではありますが、無農薬・無化学肥料のお米としては日本有数の安さだと思うのでご理解をお願いいたします。ただ、安さ自慢というか、安さが売りというわけじゃないんでそこのご理解もお願いいたします(笑)

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2017年8月11日金曜日

かろうじて豊作!

無事お米が収穫できました!

8月はじめに襲来した台風については、「これはかなりの被害を覚悟しないといけないかも」と悲壮な気分になっていましたけど、極端に速度が遅く迷走してくれたため、さほどの被害を受けずに済みました。

うちの地域でも、稲がベラっと倒れてしまった田んぼもあるので、地域全体で無被害というわけではないですけど、概ね被害は軽くてよかったです。

そんなわけで、今年は天候にも恵まれたので生育もよく、豊作となりました。53aの面積で、籾40俵(23.5kg/俵)+玄米40俵(30kg/俵)の収穫がありました。これ、私がお米作りを始めてから一番多い収量な気がします。

といっても、昨年も一昨年もかなり不作だったので、ものすごく豊作だ! というわけではないんですけどね…。他の方の田んぼに比べると、稲がスカスカしている感じがやっぱりあります。何しろ肥料をほとんどあげていませんから。

今年は、53aに堆肥を45kg、油粕を40kgあげてみました。普通なら、堆肥だけでも何トンも撒布するものですからこれは激烈に少ない投入量だと思います。これでも、稲というのはちゃんと生育するからすごいですね。それどころか肥料を少なくする方が頑健に育つような気さえします。

そういえば、今年は豊作と言いましたが、地域全体が豊作かというとそうでもなくて、実は「ウンカ(雲霞)」の被害がすごかったです。

夥しい数のことを「雲霞の如く」と形容する、あのウンカのことです。

ウンカ(セジロウンカとかトビイロウンカとかいろいろ種類がある)というのは、ものすごく小さなセミみたいな虫で、大量に飛来して稲を食害し根こそぎ枯らしてしまいます(その上病気も出る)。うちの田んぼにも台風後にやってきて、一部枯れてしまいました。

でもうちの被害はごく軽い方で、田んぼ全体が枯れ草みたいになってしまった悲惨なところも散見されます。こんなにウンカ被害のひどい年は、私がこちらに来てからは初めてかもしれません。

このウンカという虫が、どうしてこんなに大発生してしまったのかというと、おそらくは単に運が悪かったということなんでしょう。というのは、ウンカは中国南部や東南アジアで発生して、偏西風に乗ってはるばるやってくる虫で、どこに飛来するかは全くの偶然なんです。

実際、日本植物防疫協会というところがウンカの2日後までの飛来予測を公開しているんですが、予測図を見ると天気の動きみたいなもので、PM2.5なんかと似ています。

そんなわけですから、管理が悪かったとかそういうことではなく、今年はウンカの来る気圧配置だったわけですね。もちろん農薬によって防除するということもできるんですが、私の場合は無農薬で作っていますしね…。収穫間際まで、「ウンカの被害が広まりませんように」と願うばかりでしたけど、これもそれほどはひどくなくてよかったです。

そんなわけで、バッチリ豊作、というよりは、かろうじて豊作といったところではありますが、粒も充実していて(まだ食べていませんけど)味の方も期待できそうです。少なくとも、昨年より出来がいいのは間違いありません。

予約分で完売するかもと心配していましたが、見込みより収量が多かったのであとちょっとご注文を受け付けることができます。8月中には完売すると思われますので、ご注文はお早めにお願いします!

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2017年8月5日土曜日

台風前の壮大な夕焼け

やっぱり来てしまいます。台風5号。

大浦町では、台風の襲来に備えて、みなさんあたふたと準備しているところです。

稲刈りも、昨日までは急ピッチで進んでいました。台風が来る前に収穫しようということで。

しかし、稲刈りにしても、そんなに急にできるものではありません。登熟の都合もさることながら、コンバインでの稲刈りだと乾燥機に入れないといけないので、乾燥機の容積が稲刈りのボトルネックになります。

かくいう私は、先輩農家Kさんに刈り取り委託をお願いする立場ですから、贅沢はいえないと思っていたのですが、なんとKさんが田んぼ1枚分、早めに刈ってくれました。ちょっと刈るにはまだ早いんですが、そこは早めに刈ってもらえるようお願いしていたんです。これで台風が来ても、全く収穫がないということにはならないですね。Kさんありがとうございます!

そして昨日、空には壮大な夕焼けの芸術が現れました。

台風の前には、いつもこういうすごい夕焼けが見られます。この夕焼けを見ると、台風はもう避けられないのだと、そういう気持ちになります。美しいというより、不気味な夕焼けです。

収穫前の田んぼが、無傷で済むということはないと思いますが、潰滅ということにはならないよう祈ります。みなさんも無理してお怪我などされないよう、気をつけて下さい。