2016年5月30日月曜日

重機で動物のすみかを壊す側の人間

写真ではよくわからないかもしれませんが、これは「けもの道」です。イノシシの通り道がずうっと奥まで続いています。

今、私は開墾作業をしていて、こういうけもの道が縦横に通っている荒れ地を、重機を使って灌木を引っこ抜き、地を均し、引き抜いた植物を燃やす、という作業を行っています。

その作業をしながら思い出したのは、「平成狸合戦ぽんぽこ」でした。それから、「アライグマじいさんと15匹のなかまたち」という絵本(小さい娘たちに読んであげている)。

要するにこれは、動物たちが平穏に暮らしていた場所を、人間が重機を使ってめちゃくちゃにして人間の領域に変えてしまう、という話ですね。かつては私も、そういう人間の身勝手さを残念に思い、動物たちに共感して映画を観ていました。

でも田舎で農業をしているうち、いつの間にかこうして自分が重機で動物のすみかを壊す側の人間になっちゃうなんて…。パワーショベルで灌木を引っこ抜きながら、ふとそれに気づいたのです。「平成狸合戦ぽんぽこ」だったら、自分は敵側なんだなーと。

そしてここでの農業は、鳥獣害との戦いという側面がかなり強いですから、動物たちを「保護すべき対象」ではなく、「知恵比べの相手」として見るようにもなりました。正直言うと、猟友会にはどんどんイノシシを駆除して欲しい、と思っています。

「動物愛護」という概念自体、都市化が進んだ段階で出てきたものですから、こうして田舎暮らしをしているとそんな悠長なことを言ってる場合じゃなくなるのは当然なんですけどね。「自然保護」は大事ですから、なるだけ農薬を使わないようにしたり、化学肥料を減らすように心がけてはいますが…。

田舎で農業というと、都会から見ると「自然との共生」とか、そういう美しい言葉で飾られて見られますが、実際は「自然とのせめぎ合い」なんですよね。

2016年5月18日水曜日

かぼちゃも日焼けは苦手

このところ、急に夏めいてきましたね。雲一つない青空で、農作業が進みます。

天気がいいのは有り難いんですが、実は雲一つない強い日差しはちょっと困りものです。

というのは、私が育てているかぼちゃ(一応、「加世田のかぼちゃ」というブランド野菜です)が傷んでしまうせいです。

かぼちゃは夏野菜で日差しに強いと思われていますが、実はかぼちゃは高原の野菜で、高温や強い日差しは苦手です(ついでに言うと鹿児島では夏野菜ではなく、春秋野菜でしょうか)。強い光に当たると、写真のように焼けただれてしまい、そのうちこの白いところから腐っていきます。白くなった時点でどうせ商品価値はゼロなので、腐る前に取っちゃいますけどね。

例年なら5月はまだこういう強い日差しはないので油断していましたが、数日前のピーカン晴れの時に数個この症状になってしまいました。ガックリ。

ちなみにこれはどうやって防ぐのかというと、かぼちゃ一つ一つに覆いを被せて保護していくんです。慌てて、日当たりがよすぎるかぼちゃだけその覆いを被せる作業を行いました。いずれ全てのかぼちゃを同様に被覆します。

それにしても、かぼちゃは切るのに苦労する頑丈な皮に包まれているのに、日差しに弱いっていうのが不思議です。

2016年5月16日月曜日

満開だからいいってもんじゃありません——柑橘栽培の12ヶ月

ちょっと前の話になりますが、ゴールデンウィークの頃は柑橘の花のシーズンでもあります。

去年は全体的に花が少なく、着果数が平年の数割減でしたが、今年はそれなりに花がつきました。

というか、しらぬい(デコポン)なんかは、花芽がつき過ぎです! ここは桃源郷か? ってくらい満開の花になりました。

花がたくさん咲くのはいいことじゃん、と思うかもしれませんが、そうでもないんです。

というのは、植物にとって花を咲かせるというのはそれだけでかなりエネルギーを消費するんです。人間に例えると、花が咲くのはお見合いに当たります。お見合いばかりたくさんすると疲れてしまうように、植物も花が多く咲きすぎると弱ってしまいます。

それに、いくら花がたくさん咲いても、どうせ摘果して適正着果数に抑えるわけですから、一定以上の花は無駄なのです。

しかしそれ以上に重要なことは、花芽が多いと、それだけ葉芽が減るということです。もともと植物の新芽は花にも葉にもなるものとして生まれ、一定の条件が揃ったときに花芽になるという仕組みになっています(「花芽分化」と言います)。なので、花芽が増えるということは、葉芽になるはずだったものが減るということなのです。新しい葉っぱが減るということは、植物にとっては生産性の低下を意味します。

さらに、今年は直花(じかばな)が多い! 直花というのは、写真の右側の花のように、茎から花だけがたくさんついている花のことです。一方、少しわかりにくいですが、写真の左側にあるつぼみは、つぼみと一緒に数枚の新葉がついています。こういうのを有葉花(ゆうようか)と言います。いい果実を収穫するためには、有葉花についた実でないといけません。要するに、直花はいくらたくさん咲いても仇花(あだはな)であり無駄、適正個数の有葉花だけが咲くのが最も植物にも生産者にも都合がいいわけです。

ということで、今年は花は満開でしたがその内容はベストではありませんでした。たくさん実がつくと樹が弱るので、今年は摘果を頑張らないといけません!

2016年5月4日水曜日

隣の稲は青い

最近、「みなみの森の雑貨屋さん」「KENTA STORE」「吹上浜 砂の祭典」と続いて、農作業のことを記事に書けていませんでした。

が、もちろん「南薩の田舎暮らし」のメインの仕事は農作業です!  というわけで、最近の田んぼの様子がこちら。

右がうちの田んぼで、左は他の人の田んぼです。うちの田んぼは、稲が少なくて寂しい感じですね…。田植えの日は数日しかずれていないのですが。

うちでは、無農薬・無化学肥料でお米を作っていますが、実は肥料自体を極めて僅かしか使いません。「気休め程度」に肥料を入れるって感じです。いろいろ試してみて、それが一番美味しいお米が安定してできるように思ったからです。でもそのせいで、初期生育がとっても悪いんです。

この小さな苗の時が一番脆弱で、ジャンボタニシにはもしゃもしゃ食べられるし、雑草ははびこるし、初期生育が悪いのは本当によくないです。でも、やっぱり収穫時の美味しさを考えると、薄肥がいいと思うんです。こうして隣の青々とした稲と比べると、肥料を入れたくてウズウズしちゃうんですけど。

去年も、「こんなに初期生育が悪くて、収穫できるんだろうか??」と不安になりながらの栽培でした。でも生育中期以降にけっこう追いついたんですよね! 植物の不思議です。

ところで先日、有機栽培で米作りをしている人に聞いたら、その人は1反(10a)あたり300kgもボカシ肥料を入れるらしいです。こんなに肥料を入れたら、化学肥料を使う人よりもかなり肥料が多くなる計算です。でもそれで美味しいお米が穫れているそうですから、やり方はいろいろあるんですね。

農業に「正解」はないので、自分なりのやり方でやっていくしかないです。

2016年5月1日日曜日

砂の祭典2016にお越しの際はぜひこちらにも

南さつま市最大のイベント「吹上浜 砂の祭典」が本日から始まりました。

ご存じない方のために一応説明しておきますと、これは「札幌雪祭り」を雪でなくて砂でやったものだと思って下さい。つまり砂でつくった彫刻(?)がたくさん展示されており、それに付随してステージショーなどが行われます。

その飲食ブースの一角に、最近発足した南さつま市観光協会の女子チーム「mojoca」のブース、「Beach Cafe」が出店しています。

なんでこんな紹介をしたかというと、このBeach Cafeの運営に「南薩の田舎暮らし」が協力しているからです!

かき氷シロップとドリンクのモトの製造、それから「くじらクッキー」を卸しています。

シロップは、「ジンジャー」と「はちみつレモン」を作りました。かき氷シロップって、合成着色料で舌が変な色になっちゃうようなものが多いですが、これはもちろん全部自然素材の無添加品です。 他に「いちご」がありますが、これは市販品を使っています(でもそれにホンモノのドライイチゴをトッピングしていますよ!) 。

ドリンクとともに販売している「ジンジャーエールシロップ」は、本日ご好評をいただいて、既に半分くらい売り切れたとのことです。(なお他のドリンクは、シロップは販売していません)。

そして「くじらクッキー」は、砂の祭典のためだけに特別に製作しました! 文字通りくじらをかたどったクッキーです。型をわざわざ手作りして、とってもかわいい形に仕上がっているので、ぜひ会場でお確かめください。

そしてそして、「Beach Cafe」とは違う場所なんですが、会場では南薩の風景ポストカード「Nansatz Blue」も販売しています! (観光協会のブースで)

これも一応、知らない人のために説明しますと(ってほとんどの人が知らないけど)、友人に撮ってもらった南薩の風景写真を「南薩の田舎暮らし」でポストカードにしたものです!

実は、砂の祭典の会場で売りたいなー、と一昨年前から思っていましたので、ようやくその思いが実現できました。1枚100円、5種セット450円で販売しております。

というわけで、砂の祭典にお越しの際は、「南薩の田舎暮らし」関係にもご注目いただきますようお願いいたします!

※冒頭画像はmojocaのFacebookページから拝借させていただきました!

【情報】2016 吹上浜 砂の祭典
<会期>
2016年5月1日(日)~5月31日(火)
○ゴールデンステージ 5月1日(日)~5日(木) 5日間
 開場時間 9:00~21:00 ←花火も打ち上がります!
○休園日 5月6日(金)
○セカンドステージ 5月7日(土)~31日(火) 25日間
 開場時間 9:00~17:00
<会場>
南さつま市金峰町高橋
砂丘の杜きんぽう内特設会場
 

<入場チケット>
○ゴールデンステージ

大人1,000円(前売700円)、小・中学生500円(前売400円)
○セカンドステージ
大人500円、小・中学生300円(当日券のみ)