2020年10月30日金曜日

「ベルガモット」がめでたく初収穫!

数年前植えた「ベルガモット」が、今年初収穫を迎えました!

ベルガモットとは、アールグレイの香り付けに使うレモンに似た柑橘です。「レモンに似た」と説明はするんですが、実際にはあんまり似てなくて(笑)、あえて言えばダイダイですかねー。

香りはまさにアールグレイで、食欲をそそられるというよりも、精神を沈静させるような香りとでもいうんでしょうか。例えばラベンダーとかは美味しそうな香りじゃないと思うのですが、譬えればそんな感じの系統です。

ちなみに香りは果皮だけにあって、果肉はアールグレイには使いません(もちろんレモンティーみたいに輪切りにして入れても出来ます。でも市販のアールグレイティの茶葉に入っているのは皮のみです)。 しかし果肉ももちろん食べられて、レモンよりちょっと弱い酸味と、後味が残る苦みがあります。でもまあ、ダイダイと同じで、そのまま食べるものじゃないかなと思います。

このベルガモット、あまり日本では生産されていません。というか世界の生産のほとんどがイタリア南部のカラブリア州ということで、「カラブリア以外ではうまくできない」とまことしやかに言われております。

なんでも、アールグレイが世界的に流行した時、いろんな国・地域でベルガモットを栽培しようとした人がいたのですが、結局うまくいかず、カラブリアの一人勝ち状態で、カラブリアのベルガモット農家は立派な御殿を建てられるほど儲かったと言います。

ところが、アールグレイの需要に対して供給が限られていたこと、ベルガモットの価格が非常に高かったことで、化学合成香料の開発が進められ、結局今ではほとんどのアールグレイティは合成香料によって香り付けされております。

ただ、やはり合成香料はちょっと鼻につくというか、はっきり言ってあんまり美味しくないです。私は天然モノのアールグレイが飲みたいのです。そんなことから数年前にベルガモットを植えたんでした。「カラブリア以外ではうまくできない」という事前情報はありましたが、いろいろ工夫すれば大丈夫じゃないかな、という軽い考えで(笑)

結果、「少なくともちょっとは収穫できる」ことが証明できました。経済栽培が成り立つくらいたくさん穫れるのかどうかは、これからの検証になりますが…。少なくとも、台風には弱いことは今年よくわかりました。

【参考】台風10号被害 →ベルガモットが一番被害が大きかったんです
https://nansatz-kurashi.blogspot.com/2020/09/10.html

というわけで、昨日ベルガモットをネットショップで売り出したのですが、なんと2時間くらいで売り切れてしまいました。もともと8kgしかなかったのでそんなに驚くことではありませんが…、それにしてもこんなレアな柑橘をパッと買う人が結構いるんですねー。

お買い上げいただいた皆様、ありがとうございます!

来年は、今年の2倍以上の量が収穫できるのではないかと思います(台風次第だけど)。「欲しかったのに!」という皆様、どうぞ来年までお待ちください!

2020年10月17日土曜日

「古民家ブックカフェ」になるかもしれない空き家の内覧会、を開催します!

 先日のブログ記事でお知らせした、「古民家ブックカフェ」をつくるプロジェクトですが、意外なくらいたくさんの反響がありました。

【参照】もらった家で「古民家ブックカフェ」を作るプロジェクト。一緒にやりませんか?
https://nansatz-kurashi.blogspot.com/2020/10/blog-post.html

「一緒にやってみたい」という人や「とりあえず見てみたい」という人、何人かからご連絡がありました。

そこで、この度、内覧会的なものを開催することといたしました。個別に進めるより、オープンな形でやる方が気軽に参加できる人も多そうですし。

内容は、家の内覧とプロジェクトの説明です。要は「こんなことを考えています」というアイデアの説明ですね。ちょっと内容薄な感じですが、現にそうなんだからしょうがない(笑)

ところで、「古民家ブックカフェ」をつくる、ということで、文字通りDIY的なことを考えた人もいたようです。これは私の説明不足で、DIYでブックカフェを作るのではなくて(一部DIYもするかもしれませんが)、ハード面は工務店さんにリノベーションしていただき、ソフト面の方を一緒に作っていきませんか? という意味でした。

というのは、何しろ立地が大浦ですから、いろいろ工夫しないとお客さんが来ないわけです。建物をリノベーションするのも大変ですけど、この僻地ですとそこを活用していくのはさらに大変だと思います。私としてはここを文化の拠点にしたいという思いはありますけど、ただ本を並べたり音楽をかけたりするだけでは文化の拠点にならないので、「文化的に利用してくれる人」も必要になってきます。

もちろん、「一緒に働きたい!」という人だって営業形態によっては必要かもしれませんし…!

そして、いろんな人の意見やアイデア、ご要望を聞きながら、どんな風にしたら面白い場所にできるか考えたいと思います。

こんなふわっとした感じでもよければ、一緒にやりましょう!

【案内】「古民家ブックカフェ」になるかもしれない空き家の内覧会
日時:11月1日(日)13:30〜15:30
場所:〒897-1201 鹿児島県南さつま市大浦町13647(→Google map
駐車場:久保公民館(→Google map)に駐車してください。公民館〜現地は徒歩4分。なおトイレは公民館のトイレを使って下さい。
内容:建物の内覧+プロジェクトの説明 、コーヒー
申込不要(でもコメント、FBメッセージ等で参加の旨一言もらえると嬉しいです)


※友人の写真家・川田 達也さんがこの家の写真を撮って下さったのでここに掲載します! 

なお川田さんは、入った瞬間、「昔のおばあちゃんちのにおいだ!」と言っていました(笑)








2020年10月11日日曜日

「海の見える美術館で珈琲を飲む会 vol.7」コロナのためシンプルに開催します!

11月15日(日)、今年も「海の見える美術館で珈琲を飲む会」を開催する運びとなりました!

今年は、コロナ禍のため、開催するかどうか、本当に悩みました。というか、ほとんど中止で心づもりしていました。

だって、地域の主立ったイベントは悉く中止です。「砂の祭典」はもちろん、ほとんど地元の人しか来ない「大浦まつり」も中止です。あえて虎の尾を踏む必要もないし。

そんなことで、中止するしかないのか…と思っていた時期に、イベント関係の業界の人に「珈琲を飲む会はやっぱりやらない方がいいですかねー?」と軽く相談してみたんです。

すると、「いや、今はむしろ万全のコロナ対策をした上で、イベントを開催する方がいい雰囲気だよ」と教えてくれました。万全のコロナ対策とは、例えば、入場時の検温、万が一のための連絡先把握等です。

それを聞いて、私は「やっぱり今年は中止するしかないかな」と思いました。なぜって、私は自分自身が一番コロナ対策には「ずっさらしい」(いいかげんな:鹿児島弁)わけです。近所のスーパーに行く時も、しょっちゅうマスクを忘れちゃいます。別にマスクをつけたくないわけではないのですが、農業をしていると人とも会わないし、マスクしなくちゃってのを忘れるんですよね…。

そんな私が、自分が主催するイベントの時だけ「みなさん、コロナ対策は万全にしましょう!」とか言っても、「お前がゆーな!」っていう感じになってしまいます。とてもじゃないけど私の口からはコロナ対策は言えない…!! 身から出たさびです。

かといって、コロナ対策をせずにイベントを開催するというわけにもいきません。飲食店のみなさんや、ちゃんとしたイベント主催者のみなさんが、いろいろ工夫して万全の体制を整え、なんとか前に進もうとしている中ですからねー。もちろん実際に感染者が来てしまうという可能性もゼロではないわけですし。

なので、まあ、今年は「珈琲を飲む会」は中止だな、と思っていました。

なんですが、立て続けに3人くらいから「今年は珈琲を飲む会はいつやるの?」「あの会はコロナで中止しなくていいでしょ、野外イベントだし密でもないし」「ぜひやって!」との声がありました。

最初は私も「いやー、難しいですね〜」とか言っていたのですが、続けて3人からそういう話があると、だんだんその気になってきます。その気になるなという方が無理ですよね(笑)

いろいろ考えた挙げ句、音楽とかアートみたいな人が集まる催しをしないで、シンプルに珈琲と風景だけを愉しむ会にしたら、特別な(検温するとかの)コロナ対策は行わなくても感染を拡大するリスクは少ない——という考えで開催することにしました。

なので、今年の「珈琲を飲む会」は、音楽ライブもありませんし、アート作品の展示もありません(常設展はいつも通り観覧可能)。また、出店も最小限で今のところ古本屋さんのみです(今後の調整次第でピザ屋さんは来るかも)。

でも考えてみれば、「珈琲を飲む会」は「絶景を前にして珈琲を飲んだら美味しい」というのが根幹の会なので、珈琲と風景だけあれば成立するんですよね。これはこれで、ゆったりと愉しめるんじゃないかなと思っています。

また、その結果として、例年は参加費500円を徴収していましたが、今年は参加無料としました(珈琲は別途購入してくださいね)。

そういうわけで、今年は「海の見える美術館で珈琲を飲むだけの会」です。極めてシンプルです。でもそれが逆にいいっていう人もいそうです(笑)

それでは11月15日(日)は、笠沙美術館でお会いしましょう。

 【情報】
海の見える美術館で珈琲を飲む会 vol.7 ←リンク先Facebookイベントページ
日時:2020年11月15日(日)10:00〜16:30
場所:笠沙美術館(南さつま市笠沙町赤生木8666-1)
参加料:無料

 

 



2020年10月9日金曜日

もらった家で「古民家ブックカフェ」を作るプロジェクト。一緒にやりませんか?

藪から棒な話なんですが……、数年前、「家」をタダでもらいました。

親はもちろん、親戚からでもありません。それまで全然知らなかった人からです。

知らない人から家をタダでもらう!? ウソー!! 

というのが普通の感覚だと思います。ありえないですよね(笑)

でも本当なんです。事の発端は、耕作放棄地になっていた畑(というか藪)を借りようとしたことでした。持ち主(当然こちらにいない。大阪在住)とはなんとか連絡が取れたのですが、いろいろあって、「親類縁者、だーれも大浦にいないから、畑も家も、全部君がもらってくれ」という話になりました。

ただ畑を借りたかっただけの話なのに、家をもらうなんて……(動顚)。

「家をタダでもらえるなんてラッキーじゃん!」と都会の方は思うかもしれませんが、この家で育った持ち主ですらいらないと思う家ですからね。最近よく言われる「負動産」(不動産のもじり)というやつで、管理の手間や取り壊しにかかる費用などを考えると損するわけです。

ちなみに、もらった家の第一印象は、「森に包まれてる」(笑)

家自体は道路に面しているんですが、敷地内に大きな樹がたくさん生えていて、まるで森の中に建っている家のようです。

その森の向こうに、家庭菜園のような広さの畑もついています(ただし、今は雑木が生えている)。森の向こうに家庭菜園があるっていうのが面白い。

あと、屋根や外壁が水色に塗装されていて、この色合いが個性的でステキです。それはそうなんですが、だからといって自分で住むわけでもない家をもらってどうしよう??

そんなわけで、私も3年ほど放置していました。

しかし、家内から「あの家はどうするの?」「なんとかしないと」とせっつかれ、二人で中の整理を徐々にはじめました。中は、まだ家財道具がまだワンサカ入っていたし、しかも隙間から野生動物が入り、押し入れに巣を作っていました。当然、家の中は糞があちこちに。まさにカオス…。その当時があまりにカオスすぎて写真を撮っていなかったのですが、今思えばあの時の家の様子をちゃんと記録しておけばよかったですねー。

そして1年以上かけて、今日、ようやく家の中をスッキリさせることができました! 

整理をする前は、空き家バンクに登録して誰かに貸すか、移住者を募ろうかと思っていました。

でも間取り的に家族には狭いし、何より普通の暮らしを送るには大改修が必要になってきそうです。もっと状態のいい空き家が周りにはたくさんあるのに、わざわざお金をかけてこの家に住みたい人がいるだろうか? これを人に貸すのはどうかなぁー、という気持ちになってきたわけです。

そしてこの家の間取りや広さを見てみると、小規模店舗をするのにちょうどいいサイズなんです。そして、最初はあまりにカオスすぎてとても使えないと思っていたのですが、だんだん整理が進んでみると、意外と痛みも少なくて(あくまでも「意外と」!)、古い家っぽいジメっとした感じもありません。

いっそ、自分たちで使った方が面白いんじゃない? だんだんそんな気持ちになってきました。

ここ3年くらい月イチでやっているイベント「石蔵ブックカフェ」、これの発展型として、この家を「古民家ブックカフェ」に改修したら……

まあ、「古民家」っていっても、中途半端な古民家で、黒光りする立派な梁があるわけでもなく、良くも悪くもほのかに昭和の「高度経済成長」を感じさせるつくりです。

例えば、このタイルの流しなんかも、なかなかいいですよね〜!

「高度経済成長」というと、都会でのそれは「文化住宅」(簡単に言うと和洋折衷アパートです)とかをイメージすると思いますが、田舎での「高度経済成長」はちょっと違います。

例えば、このカマドとか。

「高度経済成長より前だよね(笑)」と思うかも知れませんけど、実はこういう形のカマドが普及したのも田舎ではけっこう最近の話で、それまでのカマドはまさに土でつくった効率の悪い(特に煙がひどい)ものでした。

「生活改善運動」といって、それまでの遅れた農村の暮らしを近代化させようという運動が戦前から戦後にかけて行われるのですが、その成果がこのカマドであり、さきほどのタイル張りの流しです。

こうしたものは今から見ると随分古いもののように感じますが、実はせいぜい60〜70年前に普及したものなんですよ。

すみません。つい歴史を語って話が逸れてしまいました(笑)

要するに、 まあ、なかなか味のある家で、ただ汚いだけの家ではない。このまま壊しちゃうのはもったいない。

であれば、「南薩の田舎暮らし」がずっとイベント的にやってきた「カフェ」を主軸にして、本を並べた「ブックカフェ」にしたら面白い!

…ような気がするんですが、大浦という土地を知っている方は分かる通り、そんなに簡単にお客さんが来るような場所ではないですし、我々も既に農業や食品加工に忙しく、ちゃんとできるのか大変心許ない。もちろん改修費用もかなりかかる。

そんなわけで、この半年くらい、改修してブックカフェにすべきなのか、そんなことはしない方がいいのか、夫婦二人で悩んできました…。というか、今でもまだ悩んでいます。

でも、不要品の処分や、家の掃除もかなり進んで、なんとなくイメージも湧くようになってきたので、一応、工務店さんに改修の見積もりを出してもらったり、頴娃に行って「頴娃おこそ会」がやっている空き家再生案件を見させていただいたりしてみました。

そんなこんなで、まだ「よし、やるぞ!!」って感じではないのですが、なんとなく動きだした……雰囲気。

こういう状態なんですが、古民家ブックカフェのオープンに向けて、関わってみたいかもーっていう人がいれば、ありがたいなあって思っています。どうしても、夫婦二人だけだと力不足な部分があるので、何人かでワイワイやりながらだったら、進むかも…?(笑)

あ、もちろん、「そんな物件があるんなら私が店をやります。貸して下さい!」という方がいたら大歓迎です。年間3万円で貸します。そっちの方が手間が省ける(笑)

しかし、近所の「下村広海商店(通称:馬場店)」も閉店し、「中村商店(通称:木戸店)」も閉店。今年は町唯一の病院「吉見医院」も廃業しました。大浦町の空洞化はどんどん進んでいます。今住んでいる人がなんとかしないと、なくなってしまうかもしれない町に私たちはいる。

誰か、一緒にやりたい人いませんか?

※もし「やりたい」って人がいたら、コメント欄、お店の問合せフォームにてご連絡ください。