始まりました、「石蔵古本市 vol.2」!
強風と雨・寒波という非常に厳しい条件の中、初日にお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。
また、私(店主)が不在にしている時間も長かったので、わざわざ会いに来て下さった方には申し訳ありませんでした。
今日は初日が終わったところということで、各店毎のレポートをしたいと思います。
まずは「あづさ書店 西駅店」さんから。
壁際に、昭和ーな感じの映画ポスターをたくさん貼っています。
「濡れ燕片手斬り」とか。
こういうポスター、今風の家に絵画風に飾ると、逆に現代美術みたいな感じがでて面白いんですが、インテリアとしては上級編になるでしょうね。
この他、「あづさ書店」さんは、風俗資料とでも言うんでしょうか、昔のマンガや雑誌、大衆誌といったものがたくさん並べられています。『アストロ球団』が連載されてた頃の「ジャンプ」とか! この頃青春時代を過ごした方にはたまらん空間かもしれません。
その中でも私が気になったのは、こちら。季刊『をる』という雑誌です。
この雑誌は、本格的な折り紙誌として伝説的なものだと思います。ちょっと素人ではどうしようもできないくらいのすごい折り紙が載っています。
パラパラッとめくったら、革を折るというコーナーまでありました。こういう、マニアに向けて作られた雑誌というものは、すごく内容が濃くて面白いんですよ。マニアじゃないから関係ない、と思いそうですけど、見るだけでも楽しい素晴らしい雑誌です。
2番目は「古書リゼット」さんです。
リゼットさんは、文学資料や児童書などで独特の世界を展開していました。
「オヤっ」と思うような本が並んでいますよ。一見郷土色が薄い棚だと見せかけておいて、隅の方に島尾敏雄とか橋口五葉関係の本を覗かせる演出が憎いですね(笑)
ちなみに、昨年は絵画もたくさん持ってきていましたが、今年は持ってきていないようでした。
その中で私が気になったのは、クロード・レヴィ=ストロースの『構造人類学』と『親族の基本構造』です。
これらの本で、レヴィ=ストロースは「未開民族」の習俗を調査し、そこにある種の厳格な「構造」があることを見いだして(例えば、『親族の基本構造』では婚姻のパターンが分析されています)、我々の社会は無意識に形作られた構造によってその基底が決定づけられていると指摘しました。この考え方はやがて「構造主義」と呼ばれる20世紀の一大思潮へと発展していきます。
私自身の感想を言うと、レヴィ=ストロースの分析手法というのは、あまりに「詩的」にすぎ、 もう少し現代的で厳密な手法によって再点検しなければならないと思うのですが、それはともかく、20世紀の哲学の重要な1ピースとなった一連の著作ですね。
3番目は「泡沫」さん。
一言で言って、「ディスプレイがうまい!」。
何て言うんでしょうか、立体的にこちらに迫ってくるというか、ホントすごく本の魅せ方がうまい! なんか自然に手が伸びる感じです。
私自身もお店のディスプレイがあまり得意ではないので、見習わなければならないと思いました。
そんな中で、ふと目についたのがこちら。
鹿島茂コレクション2『バルビエ × ラブルール』です。これは、バルビエさんとラブルールさんという画家の紹介であり画集であり、鹿島茂氏による鑑賞の案内でもあります。
ところが私、恥ずかしながら、バルビエさんもラブルールさんもこれまでさっぱり知りませんでした。でもなぜか、こういう本がパッと目に入ってくるのが古本屋の面白さですし、こういう本を目に入らせるのが、店主の腕の見せ所であると思います。
ちなみに、「泡沫」さんには、エロスをテーマにした棚があり、この本はその一角にあるのですが、このエロスの本棚もなかなか面白いので、ここでは十分に案内ができませんが是非手にとってご覧ください。
最後におなじみ「つばめ文庫」さん。
南さつまのみなさんは、もうかなり見慣れてきたんじゃないでしょうか(笑)
実は、この「石蔵古本市」の古書店側のとりまとめやら、「ブックトーク」の登壇者の調整やら、そういった裏方は全部この「つばめ文庫」さんにお願いしています。「南薩の田舎暮らし」は主催者ではあるんですが、実質的な「石蔵古本市」の実行委員長なのが「つばめ文庫」ですね!
そういう「つばめ文庫」さんからは、文字通りここでしか手に入らない本をご紹介します。
それがこれ「REPO(レポ)」という写真雑誌。
これは、小湊在住の写真家松元省平さんが編集したもので、一般には販売されておりません。松元さんから特別に譲り受けたものを「つばめ文庫」で販売しているんです。
写真雑誌には興味がないという人も、この中に収録されている松元さんのエッセイは絶対面白いと思いますよ! 松元さんは元々岡山生まれで神戸でずっと活躍してきました。で、余生を過ごしにこの南薩にやってきたのですが、ここには鹿児島の田舎で過ごすカルチャーショックなど、移住にまつわる話題がたくさん書かれています。
もちろん写真の方も本格的。しかもCD-Rがついていて、個人利用は自由の写真が収録されています。こんな親切な写真雑誌なかなかないような…。
こんな感じで、「石蔵古本市」には面白い古本たちが揃っています。あと3日ありますので、ぜひ実際に会場に来て手にとっていただけたらと思います。私も、今日はあまりゆっくり見ることができなかったので、明日はしっかり全体を見て掘り出し物をゲットしたいと思います!
そして、明日12月9日には夕刻にブックトーク「罪深き愉しみ」もありますのでぜひお越し下さい!
【情報】石蔵古本市 vol.2
日程:12月8日(金)-11日(月)(営業時間は日ごとに違います)
場所 :南さつま市加世田万世 丁子屋石蔵
参加古書店:あづさ書店 西駅店、泡沫(うたかた)、古書リゼット、つばめ文庫
主催:南薩の田舎暮らし
★Facebookイベントページでも順次案内を差し上げています。
【情報】ブックトーク「罪深き愉しみ」
日時:12月9日(土)18:30〜20:30
場所:南さつま市加世田万世 丁子屋第2石蔵(本店裏)
★Facebookイベントページでも順次案内を差し上げています。←古本市とは別です。
0 件のコメント:
コメントを投稿