5月11日(日)、そらまどアカデミア開催します。
今回は、鹿児島市立美術館の前館長である大山直幸さんに、鹿児島市立美術館の設立と美術館の役割について話していただきます。
鹿児島では最近、「県立美術館を設立すべきだ」という運動があります。県立(府立)美術館がないのは、大阪・京都・三重・奈良・鳥取・香川・鹿児島しかないらしいです。でも京都・奈良は国立の美術館・博物館が充実しているから県立美術館がないんでしょうし、ないからといって直ちに問題があるとも限りません。ただ、「全国的には県立美術館がないのは少数派」というのは事実です。
でも、鹿児島には県立の「霧島アートの森」もありますし、実は「黎明館」も「鹿児島県歴史・美術センター黎明館」と正式名称に「美術」が入りました(2020年)。多くの美術・工芸品を収蔵しているからだそうです。「こういう施設があるんだから県立美術館的な機能はすでにある」というのが県の言い分のようです。
一方で、県立美術館の設立を求めるグループは、こうした県の主張に対し、県民の作品の発表に使える場が足りないとか、大規模な展覧会が開催しづらいといった事情を訴えています。
こうした声に対しては「市立美術館があるじゃないか」というのがずっと言われてきました。確かに市立美術館があるから、というのが県立美術館がない一番大きな理由だと思います。実際、大阪も市立美術館があって府立美術館はないのはそういう事情でしょうね。
そして実は、鹿児島市立美術館は、全国の美術館の中ではかなり早い時期に設立されているのです。鹿児島に県立美術館がないと聞くと、鹿児島は美術に冷淡な土地なんだろうと思いがちですが、実際は逆で、いち早く美術館が作られた土地なんです!
鹿児島市立美術館が開館したのは戦後間もない昭和29年。これに先行した(国立以外の)美術館は、 京都市立美術館、大阪市立美術館、神奈川県立近代美術館、市立神戸美術館(現存せず)くらいだそうです。空襲で市街地が焼け野原になってしまった鹿児島が、戦後9年にしてこれらの都市と並んで美術館をつくるとはただ事ではありません。そして鹿児島市立美術館が開館した当時は「西日本唯一」の美術館だと謳われました。九州では、福岡より先に鹿児島に美術館ができたわけです。すごいと思いませんか?!
ではなぜ鹿児島市は、全国の自治体にさきがけて美術館を開館することができたのでしょうか? そして「美術館がある街」だったことは、鹿児島にどのような影響を与えたのでしょうか? そこには、今後の鹿児島の発展のヒントとなることも含まれているかもしれません。
こんなお話ししていただく大山直幸さんは、先述の通り鹿児島市立美術館の前館長ですが、ただの館長ではありませんでした。昨年、鹿児島市立美術館が開館70周年だった時に、市立美術館の仕事とは別に個人で『鹿児島市立美術館ができるまで』という本を刊行しており、市立美術館の歴史に最も精通された方。そして幼少の頃は、鹿児島で創作を続けた鯨津(ときつ)政男さんに8年間絵の指導も受けていたとのこと。美術館に対する想いはひとしおです。
みなさんも、鹿児島の美術館について考えてみませんか?
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第17回 そらまどアカデミア
鹿児島市立美術館 開館までと現在
講 師:大山 直幸
鹿児島市立美術館は、30年間の開設運動を経て70年前に西日本では唯一の美術館として開館した。開館までの関係者の苦労を振り返り、なぜ早期に開設されたかを明らかにするとともに、現在所蔵する作品にもふれながら、美術館の役割や収集方針を紹介する。
日 時:5月11日(日)14:00〜15:30(開場13:00)
場 所:books & cafe そらまど (駐車場あり)
料 金:2000円(ドリンクつき) ※中学生以下無料
定 員:15名
要申込:申込フォームより、または店頭で直接お申し込みください。※中学生以下は無料ですが申込は必要です。
問合せ:こちらのフォームよりお願いします。
京都大学理学部卒業、鹿児島市経済局長、船舶局長。平成28年4月から6年間鹿児島市立美術館長。著書に「あまみの森でケンムンにだまされた」( 令和2年度県立図書館推薦図書 )、「橋口五葉の中学校時代を中心に」、「鹿児島市立美術館ができるまで」
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