2020年5月16日土曜日

柑橘の花が多すぎる

ちょっと前のことですが、ゴールデンウイークは柑橘農家にとっては花の時期でもあります。

今年はやや開花が早めでしたが、5月9日くらいまで満開って感じでした。ちなみに今(5月16日)でもチラホラ咲いています。

今年の花はどうだったかというと…、全体的に花が多い。多すぎる!

もちろん花が咲かないよりは咲いた方がいい。そうでないと収穫がありません。でも多すぎるのも考えもの。なぜなら、花がベターっと大量に咲くと、樹が疲れてしまうからです。特に重要な問題は、花がたくさん咲くということは、新しい葉が少ない、ということなのです。

専門的な言葉でいうと、「花芽分化」といって、新芽は花か葉のどちらかに分かれて出来ます。つまり、「花になる芽」が多いということは、「葉になる芽」が少ないことを意味する。花と葉の量はトレードオフの関係にあるわけです。

葉が少なければ、当然光合成ができないわけですから、樹にとって痛手になります。

製造業でいえば、花は果実の原材料のようなもので、葉は工場。原材料がいくらあっても工場が稼働していなければ製品ができないのと一緒で、花が多すぎる時はあまり果実も期待できないのです。

そしてもっと重大な問題点があります。それは、一度樹が疲れてしまうと、回復するのに1年くらいかかるってことです。つまり、来年は確実に不作になる!! 今年の花が多かっただけで来年の不作まで決まってしまうとは…。うーん、シビア。

もちろん、そうなっては困るわけで、毎年ちょうどよいくらいの花を咲かすのが柑橘農家の技術ということになります。あと、大量につぼみが付いてしまった場合は「摘蕾(てきらい)」といって蕾の状態で取り除く。しかし私はまだ花の量の管理については全然ダメです。最近、ようやく手入れの仕方が分かってきたくらいのレベルですからね…。

とはいえ、柑橘園全体で花が多かったわけではないのがせめてもの救いでした。ちなみに冒頭写真はブラッドオレンジの花です(やや花多めですが、これに関してはひどく多くはありませんでした)。今年は初出荷できるといいんですが!

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