2016年7月10日日曜日

「テッポウムシ」退治!——柑橘栽培の12ヶ月

この時期、柑橘栽培にはものすごく重要な管理作業があります。文字通り死活問題になる作業です。

それは、「テッポウムシ」退治!

テッポウムシというのは、正式名を「ゴマダラカミキリ」という虫で、柑橘の木の根元に卵を産み付け、幼虫が木を食い荒らしてしまうという、柑橘の大害虫です。

成虫は黒地に白い斑点があり、ちょっとグロテスク。 でも問題なのは幼虫の方(成虫も茎を囓るから問題なんですが、幼虫に比べたらかわいいもの)。

これの退治を怠るとどうなるか。

直径30cmくらいの成木でも5年で、苗木だったら1年で枯れます。柑橘の他の害虫、例えば各種のダニなんかは、仮に駆除しなくても果実品質が落ちるくらいのことで、放っておいても死活問題にはなりませんが、テッポウムシだけは無農薬だろうが自然栽培だろうが、どうやっても駆除しなければなりません。

この時期、柑橘園を見回ると、←こういう状態になった木がよくあります。

…と言われても、写真ではよくわからないですよね。根元の方に、ほんのちょっとだけ幼虫の食べかすみたいなものが盛り上がっているのです。

これを放置すると、オガクズのようなものがどんどん出てきます。その頃は、木の中は随分食い荒らされていて非常に弱ってしまうので、そいう状態になる前に中にいる幼虫を退治しなくてはなりません。

でも「この木には幼虫がいるぞ」というのが栽培してから最初の3年くらいはよくわからなかったので、随分木を弱らせてしまいました。今では、幼虫が孵化する前の、卵の段階でわかるようになったので、かなり駆除の効率もアップしたと思います。

←これは別の木ですが、食われていたところをほじくってみると小さな幼虫が顔を出しました。孵化して数日ですかね。体長1cmくらいです。

これを番線(ハリガネ)でほじくり出してやっつけるわけです。

ちなみに、幼虫の上の方の幹がボコボコしている部分は去年幼虫に食われた傷跡です。

もちろん去年も駆除を頑張ったのですが、全てこの方法で駆除できるわけではない上、次から次に卵を産み付けていくので駆除が追いつかない部分があり、こうして去年のキズが残っているわけです。ということで、これ以上苗木が弱ると文字通り「元も子もない」という状態になっていくので、今年はこの駆除に農薬も使わせてもらいました。

「無農薬・無化学肥料」ということで売っているので、本来農薬を使ったら看板に偽りありかもしれませんが、根元にスプレーでシュッとするだけで、果実には付着しませんのでご理解をお願いいたします。

テッポウムシが卵を産むのは、だいたい6月末から7月中旬まで。地道に根元の警邏(けいら)を続けます!


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