2021年7月8日木曜日

梅雨の「見えない被害」

日本全国で豪雨の被害がでていますね。特に静岡県では大きな水害になっており、行方不明者もたくさん出ている模様…。できるだけ被害が少ないことを祈っております。

こちら南薩では、史上2番目に早い梅雨入りだったのですが、これまでのところさほど豪雨に見舞われることもなく、幸いにして水害は起こっていません。

が、実はうちの農園に関しては、かなり大きな「見えない被害」を蒙っております。

それは、柑橘の実が落ちまくってしまったことです。

特に落果がひどいのがブンタン! ブンタンは今年から本格的に出荷と思っていたのですが、「どこに実があるの?」というような、数えるほどしか実がついていない状況になってしまいました。なので今季は販売はないかもしれません。

その次がしらぬいとタンカンで、両方、今年はどちらかというと豊作の年になるハズでした。花もたくさん咲いたし。それが、よーく探さないと実がどこにあるのかわからない、というレベルになっています(冒頭写真はタンカン)。

どうして柑橘の実が落ちたのか。それは早い梅雨入りが関係しています。 実は、今年の梅雨入りのタイミング、つまり5月の中旬あたりは、柑橘の「生理落果期」というのに当たっています。

柑橘というのは、基本的に花がたくさん咲くタイプの植物です。だから実の赤ちゃんは大量に付くわけです。そしてその割の何割かを「生理落果」あるいは「自然落果」といって自分で落とすようにできています。多めに実をつけておいて、後で自分で減らすということですね。もちろん、その後に人の手でも落として(摘果)、より大きくて立派な果実が穫れるように調整します。

ところで、じゃあ植物はどのように「生理落果」の量を調節しているのかというと、基本的には光合成の量を基準にしているのではないかと考えられています。植物にとって果実を実らせるというのは大きな負担なので、自分のできる光合成の量に比べて過大な分の果実を「生理落果」させるということのようです。 

それが5月中旬くらいに起こるのですが、この時期は平年ならば梅雨入り前でピーカン晴れが続く頃です。

ところが、今年は異常に梅雨入りが早かったせいで、この大事な時期に日照量ほぼゼロの日が続きました。具体的には5月12日から22日までの10日間、ほぼ日照がありません(南薩地域振興局の資料による)。日照がないということは光合成はしませんし、雨も自然落果を促進させると考えられています。

というわけで、私だけでなくて地域の柑橘類全般が、今年は「生理落果」が多かったようです。しかしさすがにうちのブンタンくらい着果が少ないのも珍しいような。やはり無肥料で育てているからなんでしょうか? 

ちなみに日照不足・雨量の影響をあまり受けていない柑橘もあって、それはポンカンとブラッドオレンジです。理由はよくわかりませんが、おそらく開花時期との兼ね合いではないかと思います。

ともかく、今残っている分の果実を大事に育てて、できるだけ収穫に繋げていきたいと思います。これは確かに「見えない被害」ですから痛いのは痛いですけど、目に見える水害を受けている方々に比べれば全然たいしたことはありません。これから大きな台風が来ませんように!!

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