2022年11月30日水曜日

ミカンナガタマムシのせいでポンカンが壊滅…! やはり無農薬栽培は難しい。

早いものでもう12月です。ついこの間、新年を迎えたばかりの気がするのですが…。

ここ大浦町では、早くもポンカンの収穫準備が始まっています。今年は、どうやら地域的にはポンカンが豊作のようです。

しかし、実はうちではポンカンの収穫がほとんどないような感じになっています。

…というのは、この写真を見れば分かる通り、今年はポンカンが次々と枯れてしまいました! 全部枯れたわけではないですが、壊滅的といってもいいくらいの被害が出ております。

なので、今年が不作というよりも、ちょっとしばらくポンカンの生産が低調になるものと思います。うちの中心商材だったのにこれは痛い。 

どうしてポンカンが枯れちゃったのか?

実はこれ、ミカンナガタマムシという害虫の被害なんです。

「そんな害虫聞いたこともない!」という柑橘農家が多いと思います。こいつらは、慣行栽培で農薬を使っていたらほとんどお見かけしない害虫なのです。特に防除しなくても、ダニの殺虫剤などが苦手らしくて、寄りつかないためです(柑橘はダニが主要な害虫で、慣行栽培では殺虫剤を定期的にかけます)。

ところが、無農薬栽培ではこのミカンナガタマムシが非常に強力な害虫になります。日本各地で柑橘の有機栽培/無農薬栽培は行われておりますが、今のところこの害虫の(無農薬での)有効な防除方法が見つかっておりません。これのせいで柑橘の無農薬栽培を諦める方も多いと言われています。

どんな被害をもたらすかというと、この虫は樹皮の下に卵を産み付け、樹皮下で2mmくらいのウジ状の幼虫が育ちます。この幼虫が面状に樹皮下の形成層部分(維管束などがある)を食い荒らし、樹を枯らしてしまうのです。

うちではこれまでも柑橘を無農薬栽培してきましたので、昨年までも多少被害はありましたが、なぜか今年は非常に被害が多く、夏頃にはすでに多くのポンカンの樹で被害が顕在化していました。放置していれば樹が枯れてしまうので、背に腹は替えられないと思い、無農薬栽培を標榜しつつも「ミクロデナポン」という農薬を初めて使用しました。これは劇物の結構強力なやつです。

しかしながら、ミカンナガタマムシが一度樹皮下に卵を産み付けると、農薬でそれをやっつけるのは困難なのです。というのは樹皮下に住んでいるので直接農薬をかけることができないためです。そんなわけで、すがる思いで農薬を使ったものの、やはり目に見える効果はなく、多くのポンカンの樹が枯れてしまいました……。

そんなわけでガックリ来ているところですが、まあ枯れたものはしょうがない。

早速ポンカンの苗木を注文して、再起を期しています。ちなみにミカンナガタマムシは老木や樹勢の落ちた樹にはよく寄ってくるのですが、若い樹にはあまり来ないと言われています。枯れたポンカンの樹は樹齢70年くらいでしたので、もう寿命が来ていたとも考えられます。更新が遅すぎたのかもしれない。

というわけで、今年、ポンカンの販売が全くないということはないと思いますが、かなり数量が限られます。ポンカン以外の柑橘はそれなりに販売する予定ですので、しばらくはそちらの方をご愛顧いただけますようお願いいたします。

農薬を使わずに果樹を育てるって難しいですねー。

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