2023年7月30日日曜日

第7回そらまどアカデミア「戦前・戦中・戦後の絵本〜移りゆく子ども観〜」を開催します

第7回そらまどアカデミア開催します! 今回のテーマはちょっとディープですよー。

講演してくださるのは、四元誠さん。四元さんには、昨年9月に開催した第3回そらまどアカデミアでも、「絵本が映す世相と価値観—昭和・平成・令和をたどりながら—」と題した講演をしていただきました。

【参考】
第3回そらまどアカデミア開催しました! 絵本が語る社会の変化。
http://nansatz-kurashi.blogspot.com/2022/09/3.html

この講演は、大正時代から現代までの絵本の移り変わりを大量の絵本とともに語るものでしたが、あまりにも内容がありすぎて、2時間半近くの大講演となりました。その際に、「この内容が1000円では安い!」「また聞きたい!」という声をたくさんいただいたので、ご要望にお応えして、また四元さんに語っていただくことにしました。

そして今回は「戦前・戦中・戦後の絵本」に絞り、「子ども観」の移り変わりに着目した話をしてくださいます。このテーマをいただいた時、「すごいところを狙ってきたな!」と思いました。

というのは、四元さんの本業は作陶家ですが、陶業の傍らで長年にわたって児童施設での読み聞かせを行っていらっしゃいます。なので、絵本は仕事の一部でもあるんです。ところが、戦前・戦中の本なんか、読み聞かせでは絶対使わないわけです。読んだら問題になるかもしれない(笑) だから普通にしてたら絶対買わない本…のはず。なのに、結構この種の本をコレクションしているみたいなんですよね、四元さん。

しかも前回の講演では、「絵本も戦争遂行に協力させられたので、戦中には面白い絵本はない」 と言ってました。面白い絵本はない、と思っているのによく集められますよね。実際、戦前・戦中の絵本は今ではほとんど顧みられることはないと思います。つまり、ひとかたならぬ思い入れがないと足を踏み入れないのがこの世界ではないでしょうか。

でも四元さんは、前回の講演で「国策への協力という大義名分があったため、むしろこの機会を捉えて多くの絵本が出版された」とも言っていました。

つまり戦前・戦中は、絵本の歴史の恥部であると同時に、実は次の時代へのスプリングボードだったのかもしれません。私にとっても、全く”未知の領域”であるこの世界のことを、ちょっと覗くことができるのを楽しみにしています。

ぜひお申し込み下さい。

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第7回 そらまどアカデミア

戦前・戦中・戦後の絵本〜移りゆく子ども観〜

講 師:四元 誠

児童向けの読み物として編集される絵本の内容には、社会における彼らの存在をどう捉えるのかといった、いわゆる「子ども観」が色濃く反映されます。今回は、戦前・戦中・戦後、それぞれの時期に出版された絵本を紹介しながら、その移り変わりをたどってみたいと思います。

日 時:9月10日(日)14:00〜15:30(開場13:30)
場 所:books & cafe そらまど (駐車場あり)
料 金:1000円(ドリンクつき) ※中学生以下無料
定 員:15名
要申込申込フォームより、または店頭で直接お申し込みください。※中学生以下は無料ですが申込は必要です。
問合せこちらのフォームよりお願いします。

<講師紹介>
作陶家/琴鳴堂 代表。1973年鹿児島県生まれ。博物館の展示造形物の制作やミュージアムグッズのデザイン。学習教材の開発と製作、文化財の啓発普及に関する体験学習の企画・立案を中心に活動中。


2023年7月1日土曜日

「今年はかぼちゃで儲かるぞ!」と思ったのもつかの間…

6月半ばからかぼちゃの収穫を順次やっていたのですが、ようやく収穫作業が終わりました。

かぼちゃって一つ一つがとても重いうえに、初夏の暑い時期に一気に収穫するので、収穫作業はホントーに大変なんです。

ちなみに、今年の収穫量は全部で280ケースほどでした。1ケース15㎏として4.2t。これを畑から運び出すわけですからそりゃ疲れます。連日すっかり疲労困憊しておりましたが、収穫が終わってホッとしているところです。

ところで、みなさんは「今年はかぼちゃが高いなー」と思っていませんでしたか?

実は、今年は異常事態と言えるほど、かぼちゃ価格が高騰しておりました。長くかぼちゃ栽培をやっている方も「こんな価格は見たことがない」と言ってました。

原因は、冬の間の日本のかぼちゃを支えているニュージーランド産が激減したためです。ニュージーランドでは2月14~16日にサイクロン「ガブリエル」が直撃し、ニュージーランド政府は国家非常事態宣言まで出すという大変な被害を受けました。

そのためニュージーランドの農業生産は壊滅! 農地の冠水もかなりあったように報道されています。こうして、特に台風には弱いかぼちゃは輸出されなくなってしまいました。なおメキシコ産も今年は不作だったみたいなので、輸入物かぼちゃ全体が激減してしまい、かぼちゃ価格が異常に高騰したのです。

一番高騰した2月後半のかぼちゃ卸売価格は、平年の5倍近くの約700円/kgにもなりました! そこから一度はやや価格が低下したものの、沖縄産も不作だったために3月中旬から価格が反転して再び上昇し、南さつまから「加世田のかぼちゃ」を出荷開始する5月上旬にも600円/kg近くの単価になっていました。

かぼちゃ1ケース(15㎏)が1万円近くするという、とんでもない好況で迎えたのが今年の「加世田のかぼちゃ」だったわけです。世間のみなさんが、「最近かぼちゃが高くて手が出ないなあ」と不便に思っていたその裏で、我々かぼちゃ生産者は「今年は稼げるぞ!」と喜んでいたんです(笑)

ところが6月に入って相場が急落します!

原因は、春先のかぼちゃの異常な高騰を見た全国の生産者が、急遽生産を拡大(または早期出荷)したためではないかと私は思っていますが、単に正常化しただけなのかもしれません。鹿児島でも2月以降に割と天候に恵まれたことで豊作傾向であり、どちらかというと市場にはかぼちゃが余り気味という状況になってきました。

そんなわけで、私がかぼちゃを出荷する6月末には、かぼちゃの卸売り価格は平年並みどころか、平年よりちょっと安いくらいという状況に……。「今年は稼げるぞ!」と思っていただけに精神的ダメージが大きい(泣)

農業は地に足の着いた仕事と思わていますが、実際はギャンブル性が高い賭博みたいな面があります。かぼちゃはまだ安定しているほうで、キュウリとかジャガイモなんてのはほとんど公営ギャンブル(笑) 雨の日に農家がパチンコに行くのも納得です。

しかし私自身は、これまで相場でいい思いをしたことがありません。今年は初めてかぼちゃで儲かると思ったのにぬか喜びでした。そんなわけで、収穫作業も、なんだか思った以上に疲れました…。

でも、相場が正常化したのはみなさんにとってはいいことですよね。ようやくかぼちゃが安くなったのでたくさん食べてください。

※南薩の田舎暮らしのかぼちゃ(南薩かぼちゃ)は、販売開始したのですがすぐに売り切れてしまいました。すみません。

※冒頭の画像は、「Fieldman Research」の「カボチャの市場価格 変動とその理由 2023年6月」からトリミングして引用しました。作成方法は以下のとおりだそうです。
https://hatakemon.com/pumpkin_market_price/

農林水産省の「青果物卸売市場調査」をもとに作成しています。札幌市、仙台市、東京都、横浜市、金沢市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、高松市、北九州市、福岡市及び沖縄県に所在する卸売市場のデータの集計です。