2023年7月1日土曜日

「今年はかぼちゃで儲かるぞ!」と思ったのもつかの間…

6月半ばからかぼちゃの収穫を順次やっていたのですが、ようやく収穫作業が終わりました。

かぼちゃって一つ一つがとても重いうえに、初夏の暑い時期に一気に収穫するので、収穫作業はホントーに大変なんです。

ちなみに、今年の収穫量は全部で280ケースほどでした。1ケース15㎏として4.2t。これを畑から運び出すわけですからそりゃ疲れます。連日すっかり疲労困憊しておりましたが、収穫が終わってホッとしているところです。

ところで、みなさんは「今年はかぼちゃが高いなー」と思っていませんでしたか?

実は、今年は異常事態と言えるほど、かぼちゃ価格が高騰しておりました。長くかぼちゃ栽培をやっている方も「こんな価格は見たことがない」と言ってました。

原因は、冬の間の日本のかぼちゃを支えているニュージーランド産が激減したためです。ニュージーランドでは2月14~16日にサイクロン「ガブリエル」が直撃し、ニュージーランド政府は国家非常事態宣言まで出すという大変な被害を受けました。

そのためニュージーランドの農業生産は壊滅! 農地の冠水もかなりあったように報道されています。こうして、特に台風には弱いかぼちゃは輸出されなくなってしまいました。なおメキシコ産も今年は不作だったみたいなので、輸入物かぼちゃ全体が激減してしまい、かぼちゃ価格が異常に高騰したのです。

一番高騰した2月後半のかぼちゃ卸売価格は、平年の5倍近くの約700円/kgにもなりました! そこから一度はやや価格が低下したものの、沖縄産も不作だったために3月中旬から価格が反転して再び上昇し、南さつまから「加世田のかぼちゃ」を出荷開始する5月上旬にも600円/kg近くの単価になっていました。

かぼちゃ1ケース(15㎏)が1万円近くするという、とんでもない好況で迎えたのが今年の「加世田のかぼちゃ」だったわけです。世間のみなさんが、「最近かぼちゃが高くて手が出ないなあ」と不便に思っていたその裏で、我々かぼちゃ生産者は「今年は稼げるぞ!」と喜んでいたんです(笑)

ところが6月に入って相場が急落します!

原因は、春先のかぼちゃの異常な高騰を見た全国の生産者が、急遽生産を拡大(または早期出荷)したためではないかと私は思っていますが、単に正常化しただけなのかもしれません。鹿児島でも2月以降に割と天候に恵まれたことで豊作傾向であり、どちらかというと市場にはかぼちゃが余り気味という状況になってきました。

そんなわけで、私がかぼちゃを出荷する6月末には、かぼちゃの卸売り価格は平年並みどころか、平年よりちょっと安いくらいという状況に……。「今年は稼げるぞ!」と思っていただけに精神的ダメージが大きい(泣)

農業は地に足の着いた仕事と思わていますが、実際はギャンブル性が高い賭博みたいな面があります。かぼちゃはまだ安定しているほうで、キュウリとかジャガイモなんてのはほとんど公営ギャンブル(笑) 雨の日に農家がパチンコに行くのも納得です。

しかし私自身は、これまで相場でいい思いをしたことがありません。今年は初めてかぼちゃで儲かると思ったのにぬか喜びでした。そんなわけで、収穫作業も、なんだか思った以上に疲れました…。

でも、相場が正常化したのはみなさんにとってはいいことですよね。ようやくかぼちゃが安くなったのでたくさん食べてください。

※南薩の田舎暮らしのかぼちゃ(南薩かぼちゃ)は、販売開始したのですがすぐに売り切れてしまいました。すみません。

※冒頭の画像は、「Fieldman Research」の「カボチャの市場価格 変動とその理由 2023年6月」からトリミングして引用しました。作成方法は以下のとおりだそうです。
https://hatakemon.com/pumpkin_market_price/

農林水産省の「青果物卸売市場調査」をもとに作成しています。札幌市、仙台市、東京都、横浜市、金沢市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、高松市、北九州市、福岡市及び沖縄県に所在する卸売市場のデータの集計です。


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