2016年5月16日月曜日

満開だからいいってもんじゃありません——柑橘栽培の12ヶ月

ちょっと前の話になりますが、ゴールデンウィークの頃は柑橘の花のシーズンでもあります。

去年は全体的に花が少なく、着果数が平年の数割減でしたが、今年はそれなりに花がつきました。

というか、しらぬい(デコポン)なんかは、花芽がつき過ぎです! ここは桃源郷か? ってくらい満開の花になりました。

花がたくさん咲くのはいいことじゃん、と思うかもしれませんが、そうでもないんです。

というのは、植物にとって花を咲かせるというのはそれだけでかなりエネルギーを消費するんです。人間に例えると、花が咲くのはお見合いに当たります。お見合いばかりたくさんすると疲れてしまうように、植物も花が多く咲きすぎると弱ってしまいます。

それに、いくら花がたくさん咲いても、どうせ摘果して適正着果数に抑えるわけですから、一定以上の花は無駄なのです。

しかしそれ以上に重要なことは、花芽が多いと、それだけ葉芽が減るということです。もともと植物の新芽は花にも葉にもなるものとして生まれ、一定の条件が揃ったときに花芽になるという仕組みになっています(「花芽分化」と言います)。なので、花芽が増えるということは、葉芽になるはずだったものが減るということなのです。新しい葉っぱが減るということは、植物にとっては生産性の低下を意味します。

さらに、今年は直花(じかばな)が多い! 直花というのは、写真の右側の花のように、茎から花だけがたくさんついている花のことです。一方、少しわかりにくいですが、写真の左側にあるつぼみは、つぼみと一緒に数枚の新葉がついています。こういうのを有葉花(ゆうようか)と言います。いい果実を収穫するためには、有葉花についた実でないといけません。要するに、直花はいくらたくさん咲いても仇花(あだはな)であり無駄、適正個数の有葉花だけが咲くのが最も植物にも生産者にも都合がいいわけです。

ということで、今年は花は満開でしたがその内容はベストではありませんでした。たくさん実がつくと樹が弱るので、今年は摘果を頑張らないといけません!

0 件のコメント:

コメントを投稿