お米の収穫が終わってホッと一息する間もなく、次の作業が始まっています。
秋かぼちゃの準備です。今日は、堆肥を撒布しました。
私は、堆肥はこの「夢ゆうき」という堆肥を使っています。薩摩川内にある「松山農産」という堆肥屋さんが製造しているものです。
この堆肥を約50aの圃場に、約100袋、手で撒布しました。エイヤエイヤっと文字通り振りまいていく作業です。1袋15キロくらいとしたら、1.5トンくらいになりますね。もうちょっと軽いとしても軽く1トンはあるでしょう。私は堆肥撒布機(マニュア・スプレッダ)のような便利な機械を持っていないので100袋でも手で振りますよ!
ところで先日、お米の記事を書いた時に、「53aに堆肥を45kg」やった、と書きました。つまり面積はほとんど同じでも、お米の場合はたった3袋くらいしか撒かないわけです。それが、かぼちゃに対してはその30倍も堆肥を撒布している。これ、どうしてだと思いますか?
それは、かぼちゃの場合は化学肥料を使うからです。
それが堆肥に何の関係があるのかというと、ちょっとややこしい説明になりますが、こういうことです。
化学肥料に限らず、肥料分というのは陽イオンの形で存在していることが多いのです。NH4+(アンモニウムイオン)とかですね。これが土中に供給されると、対応する陰イオンがないと、どんどん降雨などによって流乏してしまいます。水に溶けるわけですから当たり前です。
よって、化学肥料を元肥として使う場合、そのままだとせっかくやってもどんどん溶け出してしまうということになります。これを防ぐには、陽イオンに結合する陰イオンを同時に与えなくてはなりません。すなわち、肥料分は電気的に+なので、土壌は電気的にーにしてあげる必要がある、というわけです。そして、この陰イオンを供給するのが堆肥の重要な役割なんですね。
というのは、堆肥とはすなわち動植物の腐植なわけですが、発酵によって各種の酸がうまれているんですね。酸というのは、H+(プロトン=水素イオン)を供給するものですから、電気的にー、つまり陰イオンなんですね(追記参照)。化学肥料の肥料分と、堆肥の腐植酸がイオン結合して土壌で安定的に存在するようになり、無闇に流乏しなくなる、というわけです。
くだくだしく書いてしまいましたが、私が言いたいのは、「化学肥料を使う時は堆肥も撒布しようね。そうでないと肥料分が無駄になるよ!」ということです。
もちろん、堆肥を撒布する理由は電気的な意味だけではないのですが、少なくとも電気的な理由だけ考えても、化学肥料には堆肥が必要なのです。化学肥料をいっぱい使う時は、堆肥もいっぱい撒布しないといけません。
では、有機質肥料だったら? という疑問があると思いますが、私の経験では、電気的な意味合いにおいては、それほど必要としないですね。というのは、有機質肥料の場合、肥料成分は既に腐植酸と結合しているので。でもこの結合の具合は、腐植の質によって異なるので、鶏糞肥料なんかは植物性の堆肥と組み合わせた方がいいような気がします。
ところで、 私がこの「夢ゆうき」という堆肥をどうして使っているのかというと、まず使い心地がすごくいいんです。サラサラで撒布しやすく、イヤな臭いもない。だから100袋でも手で振れるんです。あまりよくない堆肥だったら、ベチャベチャしていますしイヤな臭いもありますから、絶対手作業はしたくないですね。
そして「夢ゆうき」は、先述した電気的結合が、かなりしっかりしている印象があるんです。この堆肥を使うと、初期生育があまりよろしくない(笑)。 つまり、肥料分をガッチリ捉えている感覚があります。初期生育がよくない代わり、肥効が長く続き、重要な生育中期でしっかりと肥料分を効かせてくれる。そういう堆肥です。
家庭菜園にもオススメですよ!
(念のためいっときますが、松山農産とは何の利害関係もないです!)
【2017/8/17追記】
改めて読んでみると、「H+(プロトン=水素イオン)を供給するものですから、電気的にー、つまり陰イオンなんですね」がわかりにくい感じがしたので補足します。 H+を供給する、ということは、
HX → H+ + X-
というように、陰イオンXも供給するという意味です。
【情報】
ど田舎で起業した社長の日記/(有)松山農産オフィシャルブログ
↑このブログの中に、松山農産の連絡先等が書かれています。
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窪さ~ん、夢ゆうき21を紹介していただき、誠に有難うございます。
返信削除まさに我が意を得たり!中途半端な醗酵では弊害の方が強く出ます。徹底的に醗酵を進める事で有機物は腐植状態になり、そこで化学肥料との相性も良くなると根拠も無く思っていましたが、成程、良く分かりました。私の為の記事見たいです(笑)。今後ともよろしくお願いいたします。