2018年10月30日火曜日

廃寺の美。隠れた幽幻なる世界—『鹿児島古寺巡礼』出版記念講演会 を開催します!

このたび、友人の川田達也さんが『鹿児島古寺巡礼』という本を出版されました。

【参考】鹿児島古寺巡礼 島津本宗家及び重要家臣団二十三家の由緒寺跡を訪ねる|南方新社
http://www.nanpou.com/?pid=135727553

川田さんは、「つばめ文庫」さんと月イチでやっている「石蔵ブックカフェ」の常連さんで、毎月欠かさず来てくれて、歴史談義に花を咲かせる間柄です。

ブックカフェで川田さんといろいろ盛り上がるうち、この本が出版されるということで、私から「ぜひ出版記念講演会をしましょう!」と持ちかけ、このたび「南薩の田舎暮らし」として「廃寺の美。隠れた幽幻なる世界」と題した講演会を開催することになりました!

さて、この川田さんが何者かというと、鹿児島でも随一の「廃寺オタク」なんです!

川田さんの興味関心は必ずしも廃寺のみに限りませんし、歴史や史跡に対する知識や熱意も余人の追随を許さぬものがありますが、川田さんといえばなんといっても廃寺です。

周知のように、鹿児島では維新前後に廃仏毀釈があり、全てのお寺がなくなっています。だから鹿児島には古いお寺というのは一つも残っていないのですが、寺に附属していた墓地だけは壊されずに残っていることが多いのです。例えば、この本の表紙になっている福昌寺墓地については、寺跡には玉龍高校が建てられているためその痕跡はないながら、墓地だけは玉龍高校の裏に残っているというわけです。

川田さんは、廃仏毀釈以前の鹿児島のお寺に関心を持ち、その痕跡を探すため、現代まで残るこういった墓地を主に巡っています。だから、書名は『鹿児島古寺巡礼』ですけど、内容は、ほとんど「墓地巡礼」の趣があります。

墓地なんか巡って何が楽しいの? と思うかもしれませんが、まあ、普通の人にとっては辛気くさいだけで面白くはないでしょう(笑)

ところが何でもその道にはその道の楽しみ方というものがあるもので、川田さんの話を聞いているとこの墓地巡り=廃寺巡りが本当に楽しそうに見えてきます。

その要点は、廃寺は「歴史を凝縮した存在」であるということですかね。過去の人々の人生がそこに垣間見え、年表風の無味乾燥な歴史ではなく、具体的なモノが昔を語りかけてくる場が廃寺なんだと思います。しかもその上、廃寺には妖しい美があるということで、川田さんは廃寺の美しい写真をたくさん撮っておられます。『鹿児島古寺巡礼』は一種の写真集ともなっているんです。

しかもその上、本書に掲載されているのは、島津本宗家とその分家23家の菩提寺跡ということで、脈絡なく寺跡が載っているのではなくて、島津一族の全貌を体系的につかむことができるという特徴があります。島津一族ってたくさん分家がありますから、正直いって私もその全体像がよくわかっていなかったのですが、本書には各分家にまつわる豊富なエピソードや詳細な家系図が載っていて、初めてそれが理解できました!

そしてそして、さらに驚くべきことは、この画期的な廃寺本を書いた川田さんが、私(店主)よりも年下で、ようやく30歳になったばかりの好青年だということです! いやー、将来有望。「後生畏るべし」の言葉どおり、すごい新世代が出てきたと思いました。

というわけで、講演会では川田さんのディープな世界を存分に語っていただきたいと思っています。「南薩の田舎暮らし」は出版社(南方新社)とは関係有りませんし、もちろん農業とも関係はないんですが(笑)、ただ面白がって企画した講演会です。参加無料ですから儲けもありません!  もちろん補助金なんかももらっていませんので完全なる持ち出し! でもそれでもやりたいくらいの面白い講演会になると確信しています(笑)

ちなみにこの講演会は、「石蔵古本市 vol.3」の関連イベントとして実施するものですが、これの案内はまた後日やりますね!

【情報】
『鹿児島古寺巡礼−島津本宗家及び重要家臣団二十三家由緒寺跡を訪ねる—』出版記念講演会 “廃寺の美。隠れた幽幻なる世界”
https://www.facebook.com/events/321035191782336/
日時:12月1日(土)14:00〜16:30
場所:丁子屋石蔵(南さつま市唐仁原6032)
内容:約150年前、明治維新前後に鹿児島では廃仏毀釈によって全ての寺が毀されました。しかし今でも当時の文化や信仰を偲ばせる痕跡は各地に残っており、なにもかもが破壊し尽くされたわけではありません。鹿児島における廃寺巡りの若き第一人者川田達也氏に、廃寺の魅力や埋もれた歴史について語っていただきます。
※入場無料。申込不要。


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